JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。
距離を問わず、マラソン大会に参加して完走できるようになると、距離を伸ばそうとしたり、より速く走りたいという意欲が出てくる方が多いと思います。
そればかりが成長ではないので、意識しない方も当然いらっしゃるとは思いますが、恐らく少数派ではないでしょうか。
より速く走りたいというときに、大事になってくるのは練習内容の負荷に「幅」を持たせることです。
※以前の記事参照のこと。
この段階に来ると、ある程度走ることが習慣になっていると思います。
だからこそ、同じ刺激(ペース)が継続するという罠にも陥りがちです。より速くなろうとするのであれば、やはりスピードへの意識付けは必要になってきます。
その時に効果的なのが、インターバル走。
この写真は以前私が練習会に参加させていただいた某強豪チームの練習会の風景です。
私は後方に埋もれていますが(笑)
「インターバル」という言葉は耳にしたことがある方も多いと思います。
ではどのようなものなのでしょうか。
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インターバル走って何?
インターバル走とは、簡単に言うと一定の距離を速めに走ってから、予め設定した距離(または時間)をゆっくり走って一旦休息する。
それを交互に数回~数十回行う練習となります。
この速めに走る区間の設定ペースや距離、「つなぎ」とも言われるゆっくり走る区間の距離・時間の設定や繰り返しの本数などを変更するにより、負荷や目的は無限大になります。
ちなみに、この休息部分を完全に立ち止まって呼吸を整えてから再度速く走るトレーニングをレペティションといいます。
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何のためにやるの?
先に書いたように、負荷や目的は設定により変化していくのですが、インターバル走にはある程度共通の目的・効果があります。
①心肺機能への刺激
普段走っているジョギングのペースなどより速く走る必要が出てくるため、当然呼吸は上がります。
「ゼーハー」することで、循環器系に負荷をかけることが出来て、その結果血液を全身に送る能力が高まります。
血流量が上がると、持久力にも良い影響が出てくるので、結果的に走力アップが望めます。
②速く走ることを体が覚える
乳酸性作業閾値(LT)というものがあるのですが、速く走れるランナーはこの値が高くなってきます。
逆に言うと、この値をあげることが出来れば速く走れる可能性が上がります。
筋肉には大きく分けると、瞬発力が得意分野の速筋と持久力が得意な遅筋があります。
この2つの割合は個人によってある程度決まっています。
とはいえ、強化することでその割合に多少の影響をもたらすことが可能です。
速筋への刺激を繰り返すことで、遅筋のように持久力を持たせていくことが出来るのがこのインターバル走なのです。
③ゆっくり走っても負荷が高い
間の「つなぎ」は普段のジョグと同じか遅くする場合もあると思います。
とはいえ、その前後は速く走って疲労状態の中で身体を動かしているので、いつもと同じスピードであってもゆっくり感じつつ体には刺激が入っています。
そのためジョグでも持久力を上げる効果があるのです。
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いつやればいいの?
このように書くと、魔法のように思えますよね。
「インターバルって無敵じゃん。これやってれば他の練習いらないんじゃないの?」なんていう人も出てくるかもしれません。
効果が高い分、身体にはリスクもあります。
走る速度が上がる分、上半身・脚力共に筋力も必要としますし、着地時の衝撃も強くなります。
その両方の刺激に耐えられる筋力は、急には鍛えられません。
先に書いたように、心肺機能への強化が期待できる一方で、強い刺激があるのです。
心拍数が激しく上下するため、一定ペースで走り続けるよりも大きな負担をかけることになります。
また筋肉への血流を促進するため、内臓への血流は一時的に減少します。
その結果、内臓への負担がかかり消化不良や食欲減退という目に見える症状が出てくる場合もあります。
それでなくても、単純に「しんどい」です。
これを耐えられれば確かに精神面が強くなることも期待できますが、「きつい」と思う練習を行うのは純粋にメンタル面でも負担になります。
効果が高い反面、諸刃の剣という側面も持っているのがインターバル走なのです。
このように影響の大きなトレーニングなだけに疲労も大きくなります。
高頻度で行うとかえってコンディションが低下したり、怪我に繋がるということも有り得ます。
強化のためにやったことが、結果に繋がらないというのは何よりつらいですよね。
年齢やトレーニングの負荷、目的によって変わってきますが、疲労度の高さや回復という面を考えても1週間~10日に1度くらいで十分でしょう。
それでも成果は期待できます。
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どんなふうにやるの?
具体例としていくつか挙げると・・・
1.400m×10本+つなぎ200mジョグ
2.1000m×5本+つなぎ2分ジョグ
3.2000m×3本+400mウォーキング
など、疾走区間は200~2000mで行われることが多いです。
もちろんそれだけではありません。
距離や本数、つなぎの内容を変えることで狙いも変わってきますし違う効果も狙えます。
ちなみに私が現在個人的に行っているのは、(400m+100m)×10本~15本です。
つなぎの100mでもそれほど落とさずに、トータルでのタイムを狙って行きます。
設定は400mを84~90秒(3分30秒/km~3分45秒/kmペース)、100mは30秒以内(5分/kmペース)で行うことが多いため、結果的に5km自己ベストに迫るタイムで走れています。
正直一人でやると心が折れそうになる面もあるので、複数人で行える環境なのであればそれを利用すると、気持ちの面では楽に走れるかもしれません。
今後、定期練習会においてそのような内容も含めていきますので、詳細アップまで少々お待ちください。
もし自分に合った負荷の高さってどれくらいだろう?と思われたら、トレーニングメニューも含めて提案することも可能です。
用法、用量を守って、より効果的に走力アップを狙って行きましょう。
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