汗と気温。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

先週末から気候が大きく変わってきています。近畿地方はもしかしたら梅雨明けか?というくらい梅雨前線が北上しているようですが、実際のところはどうなるでしょうか。

とにもかくにも夏本番が少しずつ近づいていることだけは確かです。

ここからの時期は健康や安全のために、暑さとどのように付き合うかというところが今まで以上に重要になってきます。

 

先日のロング走では、急激な気温の上昇で思った以上の負荷になりました(参考記事:暑さ、長さを乗り越えて)。普段から暑い日々が続くのと、涼しい日がつづく中から突然暑くなるというのでは体感や疲労度が変わってくるので、適応と言う意味でもなかなか負荷が高いものになりました。

 

気温が高くなると、考えるまでもなく汗をかきやすくなります。このことが何を意味しているでしょうか。

 

 

汗と心拍

身体は自身の状態を安全に導くために、体内の温度を一定に保つために働きかけます。寒ければ震えて熱を発しようとしますし、暑ければ発汗によって熱を逃がそうとします。

そういったさまざまな温度や気候条件によって身体の反応が変わることに伴い、運動(パフォーマンス)に大きな違いが出てきます。

 

同じ内容のトレーニングを行おうとしても、暑い日には「いつも」のメニューがとんでもなくきつく感じたりということがあなたもあるのではないでしょうか。それには心拍などが関係しています。

 

気温が上がると、その空気に接している身体の皮膚の温度も上がるため、血流量が増加します。この血流が果たす主な目的は組織に酸素を運ぶことなのですが、暑くなると体温を維持するために、汗となって体を冷却させるという役割に比重が強くなります。

その結果として筋肉への酸素の供給は少なくなるため、より酸素を体に取り込もうと心拍数が上がり、それに伴って体感強度も高くなって苦しくなります。だいぶ前にはなりますが、ある文献によると、10℃、15℃、25℃、35℃のなかで安静時に最も心拍数が少なくなるのは気温15℃の時。そして運動負荷を与えた場合には10℃が最も少なくなり、逆に最も多いのはいずれも35℃だったとのことです。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/35/6/35_6_814/_pdf

 

つまり、暑い中の運動は簡単に言えば、いつもよりも負荷がかかっているんです。

 

以下の図Aは気温35℃、Bは気温8℃の時の食道の体温の図です。グラフのマークはそれぞれ水分量の減少率を表しており、■(4.2%)、○(3.0%)、△(1.5%)、□(正常値)を示しています。

 

https://www.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpheart.2000.278.2.h321より引用

水分を失った量が多いほど体温が上昇しやすくなっているのが見てとれると思います。また気温が高い方がその上がり幅も大きくなっています。

 

このことからもどのような時に心拍が上がりやすいのかを読み取ることが出来ます。

 

 

安静状態から運動を始めると「おっ!身体動かすんやな」と認識し、自律神経が働きかけることで心拍数を上げようとします。その働きによって酸素を取り込み、エネルギー循環の一部として使われやすい状態になります。(この時が俗に言う有酸素運動で、脂肪を優位にエネルギーとして用いるとされています)

一定時間以上運動を続けると、体温上昇を抑えるために汗をかくため血液量が減少傾向になります。減った血液量を補うために、心臓が血液を送り出す回数を多くして補うのが心拍数上昇のメカニズムです。

 

心拍数が高くなる状態は酸素が十分ではないと身体が判断しているため、運動をすると動きにくくなるということになるのです。

 

 

心拍を保つために

今まで書いたように、自然の反応なのです。ただ運動時になるべくパフォーマンスを維持したいという方もいらっしゃるでしょう。どんな対処が出来るでしょうか。

単純に考えて、血液を減りにくくする方法がひとつ。体内の水分量を保つようにすることです。水分を摂取すれば発汗での脱水の影響を小さくできますし、体内温度を上がりにくくする効果も期待できます。

 

あとは運動への習熟度を上げてエネルギー効率が良くなってくることで体内温度の上昇を緩やかにできます。たとえばマラソンに慣れている方と、まだ走り始めたばかりの方が一緒のペースでゆっくり走っても、呼吸の弾み方や汗のかき方が全く異なるということは想像がつくでしょう。

ただしこれは時間がかかりますので、長期的な対処というか変化というイメージでとらえてくだされば十分でしょう。

 

 

暑いときはきついのは当然

暑くなると負荷を高く感じやすくなります。ですから練習をするときに「いつも通り」のメニューにこだわりすぎないことも気持ちと身体を維持するために必要な要素です。

もちろん追い込んで意味のあるトレーニングをしたいと思うかもしれませんが、同じメニューをこなせなくなった時に…

「今日はダメだった」

と考えてしまうことが連続すると、モチベーションの維持が難しくなります。またそこでがむしゃらにメニュー消化をしてしまうと故障のもとになったり、こなすことが出来たとしても「やった」という事実があるだけで中身が薄いものになりかねません。

 

ある程度「パフォーマンスは落ちて当然」と思えると気持ち的に楽になります。今日お話したメカニズム、頭の片隅に置いていただけると良いかと思います。

 

 

当たり前ではありますが、疲れている状態でも負荷を高く感じます。

都市部では朝晩も気温が下がりにくく湿度も高くなりがちで、蒸し暑く感じることもよくあります。運動をしていなくても、そういう状況が続くと日々の疲れが蓄積して、同じパフォーマンスを出すことが難しくなります。

 

この時期は時間帯や取り組むメニューを工夫しながら身体づくりを進めていくことをおすすめします。

 

 

相支走愛は、あなたの生活リズムの中で出来ることを提案していきます。もし今身体のことやトレーニング内容のことでお悩みのことがあれば、info@soushi-souai.comまでご連絡ください。

facebook
facebook

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)ホームページ
http://www.runningtrainer.jp/