努力がパフォーマンスを下げる?

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

あなたは運動する前、走る前にストレッチをしていますか?

ストレッチと一言にいっても、方法や目的は多岐にわたります。

まず自力でできるストレッチ(アクティブストレッチ)と他者と組んで行うストレッチ(パッシブストレッチ)という2種類があります。
さらにそれぞれに動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)と静的ストレッチ(スタティックストレッチ)があります。

カタカナが並ぶと詳しくなった気になりますね(笑)

 

先に言っておきますが、何が良くて、どれが悪いということはありません。

ただ適材適所と言いますか、それぞれの目的は違うので、そのポイントを間違うと効果が出るどころか逆効果になりパフォーマンスを落とすことになりかねません

ちょっと乱暴な言い方をすると「無駄な努力」になってしまう恐れがあります。

時間と労力を使って行うのなら、効果は大きく出来る方がいいですよね。

 

まず筋肉はどのような時に力を発揮するでしょうか?
次の2枚の画像を見比べてください。
(A)dsc_4291.jpg
(B)dsc_4295.jpg

(A)の時はどこにも力を入れていないように見えますが、(B)では腕を曲げるために力を使っているのがわかりますよね。
この時に働くのは内側の「収縮」させる部位(上腕二頭筋)です。

しかし、実は(A)の時は、肘を伸ばすために上腕二頭筋の裏側にある俗にいう二の腕を「収縮させて」いるのです。

つまり筋肉を「収縮」させる時に、力を発揮することが出来るのです。

 

下の画像のようなストレッチをしたことがありませんか?

dsc_4290.jpg

上半身を後ろに倒して、太ももの前部を伸ばすストレッチです。

これはゆっくりと時間かけて行う動きで、静的ストレッチに該当します。
気持ちいいと感じるのではないでしょうか。

では、静的ストレッチとはどういう目的の時にやるべきでしょうか。

静的ストレッチの動きは基本的に「伸展」します。
縮むのではなく伸ばすのです。

最初にお話しした力を発揮する条件とは逆ですよね。

 

バネをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

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伸びきったものとそうではないバネ、どちらが強い反発力を持っているでしょうか。

伸びていないものです。

 

筋肉も同様で、伸びきってしまうと力を発揮するのが難しくなります。

つまり静的ストレッチをすることは、力を出しにくくしていることに繋がり得ます。
せっかく準備運動をしているのに運動しにくくしているとしたら、それは無駄な努力と言っても過言ではありません。

 

静的ストレッチが準備運動には適さないということが分かってもらえたかと思います。

ではこういった静的ストレッチは完全に必要がないものなのでしょうか?

 

実はメリットはあります。
それは、ほぐす役割を果たすことが出来るということです。

筋肉が縮むことで力を出すと言いましたが、縮んでばかりでは緊張状態が続き、それ以上に縮むことが出来なくなります。
縮みやすくするために伸ばして緊張状態から解放することで、力を発揮しやすくなるのです。

 

筋肉をリセットして疲労を回復するためには欠かせない運動と言えます。

または慢性的な筋肉の緊張がある方、また故障を抱えている方には症状を軽くするために有効な方法です。

 

今までの習慣で続けている準備運動がこれに該当する人は少なくないと思います。
試しに静的ストレッチは、運動後のみにしてみてはいかがでしょうか。

どのような動きが、どこの筋肉に効果的なのかという具体的なご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
個別に対応いたします。

 

運動に効果が出やすい準備運動については、あとの記事にて書いていきます。