さいたまの舞台で見た強み。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

今日はさいたま国際マラソンが行われ、バーレーンのゴサ選手が2時間25分35秒で優勝しました。

日本人トップは全体4位に入った今田麻里絵選手で2時間29分35秒。MGCへの出場権まであと35秒及ばずという結果ながら、大幅な自己記録更新と日本人トップという記録で確実に爪痕を残したレースとなりました。今後ワイルドカードを狙ってくると思われますが、そこでも積極的な走りを個人的に期待。

 

さいたま国際のコースは大きな起伏こそそれほどありませんが、小刻みなアップダウンが数多くあることに加え3つの折り返しで、かなりテクニカルなコースという印象。それに加えて今大会では急に気温が下がったことと強風が選手にさらなる負荷を与えていたことが予想されます。

気温の数字だけ見れば「例年通り」だとしても、その前後の気温により体感温度というのものは全く違ってきます。身体の反応も当然ながら異なります。他の大会よりもMGCの基準タイムは遅く設定されていますが、その数字以上に難しい走りになったのではないでしょうか。

 

さらには序盤までのペースメーカーも安定したLapを刻んでいないようでした。5kmや10kmで見たときに同じ数字でも、中身が上下していたら身体にかかる負担はさらに大きくなります。そういう意味でもさらに難しさがあったかもしれません。

 

強さを出す展開

先頭集団は終盤も3人に絞られ、35kmを過ぎて先に勝負に出たのは前回大会で2位になっているハブテゲブレル選手でした。積極的にペースを上げて前を引っ張り、後続の心を折ろうというようなロングスパート。

前半あれだけの揺さぶりがあってのこのペースだったにもかかわらず、35kmからの5kmのSplitで1分以上も上がるとは、世界で戦うための速さ・強さは相当なものがないと厳しいなと感じました。

 

そこでキベト選手が脱落し、同じバーレーンのゴサ選手とのマッチレースに。ゴサ選手を引き離すことは出来ないまま、何度も歯を食いしばってピッチを上げている様子でしたが、やはり離せないまま。

残り数百mほどとなった最後の直線に入ってから、ゴサ選手が一気にスパートをして並ぶ間も与えず付き離し、そのまま優勝のゴールを切りました。

 

今回優勝したゴサ選手は実績・経験共に大きく上回るハブテゲブレル選手に勝っていると考えていたように感じたのがトラックで磨いたスピード。優勝インタビューで「オリンピックに出るとしたらマラソンではなくトラックになるだろう」という主旨の発言がトラックでは勝負になるという自信を感じさせます。

スタミナと経験で勝るハブテゲブレル選手は早い段階で引き離すべく勝負に出て、最後の切れ味で自信を持っていたゴサ選手は最後まで前に出ずとにかく耐えるという展開。

 

双方がそれぞれの強みを出せる展開にどうやって持ち込むかというのが見ていて面白く感じました。最後まで引き離されず、「キレ」を発揮することのできたゴサ選手の強さは20歳とは思えませんでした。

 

 

自分の強みを

トップレベルで勝ち負けを競う場合、今回のように絶対的なスタミナで序盤から揺さぶりをかけてふるいにかけてロングスパートで勝負をかけたり、切れ味鋭いスピードを発揮できるよう極力温存してここぞの場面で振り切ったり。場合によっては、圧倒的な総合力で後続を付かせもしないなど色んな戦術があるかと思います。

 

あなたは自分自身の「長所」が何であるか考えたことがありますか?長所はどんな人にでも、レベルの高低は違えど必ずあります。

 

マラソンに関して言えば、長い距離を淡々と走るのが得意な人もいれば、終盤追い上げるのが見せ場だという人もいます。逆に最初からとにかく「いけいけどんどん」で突っ込むスタイルがしっくりくる人もいるでしょう。

上り坂ならどんと来い!、下りなら誰にも抜かせない、勝負根性は負けないとかいろいろあるはずです。

 

 

その日のコンディションなども影響はしますが、基本は本人の走り次第です。努力で補ったり強さを伸ばしたり出来る点もありますが、性格や身体の特徴などで向き不向きというのはある程度決まっています。

それが客観的なデータじゃなくてもいいんです。私たち市民ランナーがそこまでのデータに触れられる機会というのは多くありませんから。

 

「ここは自分の強みだ」

 

そう確信を持てるところがあるのであれば、周りがどう言おうと長所なのです。あとはその強みをどうやったら発揮できる展開に持って行けるかというのをプランに組み込みます。それだけで全くレース展開も、結果も変わってきます。

まずは自分を振り返ってみて、強みを見つけ、自信を持ってみましょう。

 

 

 

蛇足。

MGCの代表権がかかっている大会ではありますが、他に比べると扱いが小さく感じるのは私だけでしょうか…
どの大会も均等に扱わなければ、その意義も薄れてしまいます。人気がある・注目を浴びるから報道するのではなく、そこに導くのが使命では?その辺しっかりお願いしたいところ。