見せたいのか、使いたいのか。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

昨日は休みを休みとせず、トレーニングに繋ぐためにはどのように過ごしたらよいかということに関して書きました。

私は走らない日(ランオフ)を回復に努めることが大事だと考えます。

 

毎日身体に刺激を入れることを習慣としてきた方からすると、それは受け入れにくいことかもしれません。

そういう人は走らないという選択をした日に、筋トレや体幹トレーニングといった強化を狙うかもしれません。

20160913_161804.jpg例えば、これはプランクと言われる動きです。
体幹トレーニングの基礎的な動きですね。自重トレーニングや体幹トレーニングなどの書籍などには必ずと言っていいほど取り上げられています。
この動きでは、腹筋や背筋、お尻の筋肉なども鍛えられます。

でもちょっと待ってください。

その動きは本当にあなたに必要ですか?

あなたの目的がどこにあるのかをしっかり見極めないとここで失敗をします。

 

例で挙げたこの動きを行う目的が、腹筋を強化して見た目がバッキバキに割れたシックスパックを狙うことなら有効かもしれません。
むしろこれでは負荷が低すぎるくらいです。

 

でも走ることだけに関して言えば、不必要です。

考えても見てください。

歩くとき、走るときにこんな体勢を取ることがありますか?

ありませんよね。

 

以下は動くための筋肉という観点からお話しします。見せるための筋肉はまた違ったアプローチになります。

確かに腹筋や背筋など基本的な筋力は、「立つ」という動作をする時点で必要です。
それがランニング、特にフルマラソンやウルトラマラソン、トレイルランニングなど長時間に及ぶ種目を目指している場合は、さらに筋持久力が重要な要素になってきます。

しかし、その筋力はどのように鍛えるべきでしょうか。

 

理想は「その種目の動きをやりながら鍛える」ことです。

種目こそ違いますが、リオオリンピックで活躍した女子重量挙げの三宅選手。
重量挙げはかなりの重さをあげるので当然筋力は必要になりますが、技術も重要であるという特徴もあります。

重量的には80%、90%くらいの重量には触るようにしているんですけど、その中にも反復練習であったりとかをしてきている-リオオリンピック前のインタビューより。

三宅選手の場合は、あくまで段階的に行うトレーニングの一部を切り取ってのインタビューですので、終始このようなトレーニングではないと思います。

しかし、筋力アップよりもフォームを重視することで、自らが持っている筋力をいかに効果的に使えるかということを反復することを大切にしていることは間違いありません。

 

また男子体操の内村航平選手の言葉にも、そのヒントがあります。

筋トレとかはほとんどしてないです。筋肉は体操だけで自然につきました。-内村航平選手インタビューより。

種目やレベルは私たちのような市民ランナーとは全く違いますが、その考え方におけるベクトルは同じ方向でも良いと思います。

 

走ることに必要な筋力は、走ることでつけることが出来るのが理想なのです。

そう、「理想。」

理想なので難しいです。
だからこそ補強をやろうとする方が多いのもわかっています。

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右足が前に出る時は、左手が前に自然と出ます。
画像のようなイメージを持っていただければ、一般的な腹筋運動などとは違うことがわかっていただけると思います。

 

走るための補強をやるのであれば、腹筋や腕立て伏せのように一部を固める動きではなく、走ることに近い運動の中で動きの質を上げるためのトレーニングをやりましょう。

そう、見せる筋肉ではなく、使える筋肉を育てるために。

どんなトレーニングが必要なのかという質問などございましたら、ご相談ください。