休むことで罠を回避する。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

「1日休めば取り戻すのに3日かかる」

なんて言葉を聞いたことはありませんか?

 

これは恐らくバレエでの「1日休めば自分にわかり、2日休めばパートナーにわかり、3日休めばお客様にわかる」という格言が起点となっていると思われます。

技術や感覚というものは非常に繊細なものなので、休むことでそれが鈍ってしまうことを懸念したことから生まれています。

ましてや、それがバレエのように自分一人で作るものでないなら尚更なのかもしれません。

 

しかし、これを文字通り鵜呑みにしてしまうことで苦しんでいるランナーが多くいると感じています。

あなたは「休んだら走力が落ちる」と考えていませんか?
1日休んだら3日かからないと元に戻せないと考えていませんか?

 

私自身以前はそのように記憶していましたが、はっきり言いますがそれは有り得ません。

先に上げたような言葉が一人歩きして、そこに昔からの「精神論」が加わって「休むこと=怠惰」であるとした意味合いに取られてしまったのだと思います。

 

かつては運動中に水を飲むことさえ悪とされていた時代もあるくらいですから・・・

むしろ休むことは意味のあることなのです。

走ることにおいて、脚力(筋力)は不可欠です。
筋肉に関して言うと、強い負荷をかけた後に適度な休息を入れることで筋力も上がると言われています。
俗に超回復と言われているものです。

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超回復においては賛否がありますが、少なくとも上図の中の一番下に関しては間違いのないところです。
筋力が回復する前に強い負荷をかけても、疲労だけが蓄積して成長にはつながりません。この状態を「オーバートレーニング」と言います。

こうなると、かえって筋肉の硬直を産み出来ていたことが難しくなってきます。
そして成長しないことから継続するのが億劫になり、最悪の場合やめてしまう。
負のサイクルに入りかねません。

 

特に今年の夏は気温が高く、身体にかかる負担は想像以上でした。
ランナーの皆様も、「同じペースなのにとてもキツイ」、「走力が落ちてしまったんじゃないか」と感じてしまったこともあるかもしれません。

しかしそれらのほとんどの場合は錯覚です。

 

暑い季節には、身体の熱を放出させるために汗を出そうと体の中では忙しく機能しています。
当然そこには代謝が必要なので、本来なら運動に回していたエネルギーを利用しています。

結果として心拍数も上がりやすく、エネルギーも分散されるので同じ負荷だと思っている運動が辛く感じてしまうのです。

夏場にはこういうことが起こるというのを頭に入れておかないと、これを不調や走力ダウンと受け取ってしまい、取り戻すためにもっと頑張ろう!としてしまいます。

 

また体には表れにくい内臓疲労というものもあります。

わかりやすいところで行くと、夏バテのように食欲減退となるのですが全てがそのように表に出るわけではありません。
なんとなくだるいというような、じわじわと真綿で首を絞められるような症状もあるのです。

 

肉体的・精神的疲労だけがたまり、さらに不調になり、どんなに頑張ってもスピードは上がらない。
そして気分も下がる。場合によっては故障してしまう。

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これはランナーが陥りがちな落とし穴なのです。

 

毎日走るというように、習慣にしていることは素晴らしいと思います。
しかしそこにメリハリをつけないと、その刺激での強化が難しくなります。※こちらの記事を参照。

 

確かに「継続は力なり」と言います。

しかし、毎日頑張ることが継続ではありません。

長く継続するための、積極的休息は必要なのです。

 

休みといっても、一日起き上がりもしないという人はいないと思います。
仕事なり、家事なりで身体を動かしていますので、休むときは安心してしっかり休みましょう。
ただ当たり前ですが、残念ながら休んでいるだけで走力が向上するわけではありませんので、休みをあなたのメニューに「加える」という感覚でいてください。

休むことを練習の一環としてしまうのです。

 

あなたの現状に合った、あなたが目指す目的のためのオンリーワンのメニューを作ることも可能です。
どれくらいが「適度な」休みなのかということも含めて、お話しする機会があればと思います。

気になった方は遠慮なくご連絡ください。