感じ方を上手く利用する。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

あなたは、「楽しい時間はあっという間」だと感じたことはありませんか?
知らない場所に初めて向かうときに、「行く時よりも帰りの方が早い」と感じたことはありませんか?

私はほとんどの場合そのように感じます。(・・・私だけ?)

楽しい時間の場合は、意識が集中できていることが大きいと言えます。

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では帰り道を早く感じることが多いのでしょうか?

一つ確かなことは、同じ道を使えば物理的な距離が変わるということはないということです。
そうであれば、自らの感覚の問題だと推測できます。

諸説あるのですが、いくつかを挙げます。

①「帰宅効果」
オランダの研究者は「人間は往路がどれくらい時間がかかるのかを少なく見積もる傾向がある。それが目的地までの道のりを長く感じさせる。」と語る。

この研究結果によると、「この往路には時間がかかる」ということを事前に伝えておくと、長く感じる人が減るということです。

 

②馴染みがあるから。
ヒトの意識では「馴染みのある場所」のほうが意識的に広く感じるからだと考えられています-心理学誌『Journal of Consumer Psychology』

行くときは通るのが1回目。帰りは2回目なので1回目よりも道を知っていると言えます。
少しでもその道に慣れることで、意識的に広く感じ距離を近く感じるということです。

 

③行きは帰りよりも脳に入る情報が多いから。
吸収する情報量(刺激量とも解釈できます)が多いほど時間が長く感じる-フランスの心理学者フレス

②と多少重複しますが、行きは初めてなので吸収する情報量(刺激量)が多いのに対し、帰りは1度見た景色なので行きに比べると吸収する情報量がいくらか減るため、感じ方が違うそうです。

 

いずれの説を取っても、原因が自分の脳にあるということを前提に考えれば、意識と感覚をうまく調整することで「長い」と感じることを減らせると言えます。

これらはランニングをする上でも、知っていると大きな武器になります。

 

大会に出場するならば、試走できなくてもコース図や高低差を調べてイメージを作っておくことで「初めての」情報量をいくらか抑えることが出来ます。

試走が出来るなら、部分的にでもやっておくことでその場所を知ることが出来ます。

初参加より2回目、3回目の大会の方が楽に挑めるのはこういう心理も作用していると考えられます。

 

コースを知る手段が一切ない場合は、自分の体の情報(呼吸や心拍数など)を知ることに意識を向けてもいいかもしれません。
知らないコースをどんどん開拓することで、知らない場所を走る感覚を磨くのもいいと思います。

 

そして何より「楽しむこと!」

楽しい時間が短く感じるなら、楽しいと感じられる工夫をすればいいのです。

 

どこに楽しさを感じるのかは個人によって違うでしょう。
私の場合は人との会話を楽しみます。景色を楽しみます。走れていることに感謝します。

それが出来るので、ウルトラマラソンでも長いなと感じることはそれほど多くありません。
かえって、そういう行動をする余裕のない5kmなどの方が長いと感じるほどです(笑)

 

自分の意識を上手にコントロールすることで、より楽に楽しく取り組める工夫をしてみてはいかがでしょうか。