JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。
昨日の記事でメンタルブロックのことに触れました。
これを打破するためにはどのような手段が取れるでしょうか。
段差を確実に登れるものに設定する
ひとつは、階段の幅を見誤らないということです。
たとえば、あなたが1kmを6分で走れるようになったとしましょう。
次のペース目標をどこに置きますか?
5分50秒ですか?5分45秒ですか?それとも5分30秒でしょうか?
日本人は時間の概念を考える時に、不思議と「5」という数字にこだわりますよね。
5分59秒に設定する方は、少数派だと思います。
でも考えてみてください。
単純計算ではありますが、フルマラソンにおいて5秒/km変わると約3分30秒も変わります。
15秒/kmなら10分以上も変わるのです。
それがどれほど難しいかは容易に想像がつくでしょう。
でもそんなハードルの高いことを自らに課してしまっているのです。
それでは苦しいと感じるに決まっています。
もちろん目標を高く設定することは成長過程において重要な要素ですが、高すぎては達成が困難に感じ、気力を奪ってしまうこともあり得ます。
段階を踏んで行えるように、まず1秒を大切にするという考え方を持つことをオススメします。
感覚を磨く
ふたつめは、感覚主導で走るということです。
私が考える感覚主導とは、簡単に言うと時計ではなく体で感じるあらゆる情報を基にして判断するということです。
あなたはそれが出来ていますか?
出来ている「つもり」でいても、感覚で走るのは便利な今だからこそ簡単ではありません。
時計があります。アプリがあります。
時計をいつも気にしていませんか?ペースを気にしてはいませんか?
その時点で感覚だけではなく、確実に頭が制御に絡んできています。
目で見た数字を判断して、コントロールしてしまうのです。
それでは5分で走れる人が4分57秒になったら「速いな」と緩めてしまうことになりやすくなります。
そうではなく、身体と対話します。
呼吸の上がり方はどうだろうか。心拍はどうか。喉の渇きはどうかな。発汗してるだろうか。
身体に力は入っていないか。ストライドはどうかな。
視界を流れる景色の速さはどうだろうか。
五感を使って、あらゆる情報を掴みます。
そこを基に、自分の余裕度を覚えて、帰宅してから実際の距離や時間と照らし合わせます。
これを繰り返すことで、自分が○分のペースならこれくらいの感覚で行けるという経験値が蓄積します。
そして、人間の身体は順応性を持っています。
10の刺激に慣れてきたら、今までの10の力が必要だったことが9.5、いずれは9で出来るようになってきます。
感覚を重点的に磨くことによって、1km毎の数字という壁にとらわれずに、「気付けば」クリアできていたという状況を手繰り寄せることが可能になります。
もちろん基本のリズムやペースを築く段階では時計はあった方が良いとは思います。まずは、そのペースをある程度つかめたと思えたら時計を見る癖を控えてみましょう。
走り終わってから、振り返りの時にペースの上下を見て、その原因を探ります。
坂があったとか、信号があったとか、風向きがかわったとか、犬にほえられて驚いたとか(笑)
原因を見出すことで、感覚との誤差を埋めていきます。
こうしているうちに、気付けば○分の壁を少し低くすることが出来るでしょう。
考え方を変える
もうひとつは考え方を変えるという方法です。
どうしても時計がないと不安であるという方にはこの方法を提案します。
5分1秒→4分59秒は、5分55秒→5分53秒と上がり幅は同じなのです。
もちろん身体にかかる負荷やスピード感、難易度はペースが上がるにつれて変化していきますが、考え方としてそのように捉えるのです。
あくまで2秒。5分台が4分台に変わっても同じ2秒だと考えましょう。
今まで出来てきたことが、今回出来ないことはないと自分に言い聞かせるのです。
成功イメージを作り上げて、壁を越えるというよりは壊すイメージです。
多くのランナーは、目標ゴールタイムを定め、そこから平均ペースを算出して、それを基準に自分の特徴に合わせて作戦を考えていると思います。
そのペースを参考にはしても、とらわれ過ぎないようにちょっとした工夫を普段の練習から取り組んでみてください。
時には壁を避けるように、時には越える、そしてあるときにはぶち壊す!
いろいろな手段を持っていることは、色々なことが起こる本番で必ず生きてきます。
この積み重ねが、大きなステップアップに繋がるかもしれませんよ。
具体性と実現可能性を持った目標を定めて、クリアできるように頑張っていきましょう!