アツイ戦い。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

今日は注目のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が開催されました(参考記事:いよいよ決まる)。

私は業務がありまして、リアルタイムでは見ることが出来ず。帰宅の途ではいかに結果を知らずに帰れるかということに必死(笑)めっちゃハードル高い。8割方成功。隣の人の画面がちらっと眼に入ってしまいましたが、ほとんど知ることなく帰宅出来ました。一安心。

 

 

男子スタート

男女共に2位以内に入れば無条件で東京オリンピックの代表内定。非常にわかりやすい。

 

女子スタート

 

初めての試みですから、選手自身もどう出るかをすごく考えたと思います。私は順位にこだわっていく選手が多くなると予想して中盤くらいまで集団でけん制する展開になると思っていました。

ところが、男子は設楽悠太選手がスタート直後から積極的に飛び出す。30度に迫ろうという暑さの中、1km3分前後の速いペースで進む。後続はそれにつかず、集団を形成。一時2分以上の差に広げる独走状態。

 

しかし、25km過ぎから設楽選手がだんだんとペースダウン。集団は違う選手が入れ替わりながらじわじわと追い上げ残り5kmくらいの地点で先頭を吸収。そしてそこからは坂が多い場所へ。

勝負に出たのは中村匠吾選手。

ちらっと様子を見る中村選手(右から2番目)

様子を見たのか、ちらっと見てから…

 

一気にスパート(一番右が中村選手)

一気にスパート!切り替えがすごい。思わず中村選手の方を見ていることから、驚きを感じます。

その後は服部勇馬選手、大迫傑選手を含めた3名でのデッドヒート。下りで食い下がる大迫選手を上りで振り切った中村選手が優勝。ゴール前で逆転した服部選手が2位。大迫選手は3位となりました。あんなに必死な大迫選手を見たのは初めてかもしれない。それくらい気持ちのこもった戦いだったのだろうと感じました。

 

 

 

女子は一山選手がスタートから速いペースで前に出ると、こちらは集団が付く形。全体としてとても速いペースで進む展開となりました。

その中から飛び出したのが前田穂南選手と鈴木亜由子選手。中盤から2人が前に出る形から、20kmで前田選手が仕掛けて前へ。

 

終盤も大きく崩れることなく逃げ切って前田選手が1位でゴール。20km地点で自重した鈴木選手は終盤ペースダウンをするもギリギリ逃げ切って2位。3位には終盤怒涛の追い上げを見せた小原選手が入りました。わずか4秒の差ですが、そこには見えない壁があるのです。

2位と3位はわずか4秒の差。でも見えない壁がある。

 

暑さの中、男女共に熱い気持ちのこもった走りを見ることが出来ました。本当に面白かった。

 

 

走り終わった選手たちの表情を見ていると、もちろん負けて(=代表権を逃して)悔しいという気持ちはあるとは思いますが、どこかすがすがしいものを感じました。序盤引っ張ったものの14位に終わった設楽悠太選手には、笑顔がこぼれていたかのようにも見えました。

 

今までの選考方法であれば、どこかで「なんであのタイムのあの選手が」というう気持ちが芽生えたかもしれません。でも、今回は同じ条件で同じコース。全員が一斉にスタートラインに立って走るのであれば、負けても気持ちの切り替えがしやすいのではないかと考えます。勝った側も胸を張っていけるでしょう。

 

盛り上がったように思いますし、記録もこの数年で向上したことから十分にMGCは成果を出したと思います。

 

残る1枠

今回内定は得られませんでしたが、「有力候補」となる3番手には男子は大迫傑選手。女子は小原怜が入りました。

 

この冬シーズンに行われる「MGCファイナルチャレンジ」で期間中に記録された記録を上回って、かつ最速タイムを出した1名が3人目となります。もしその記録を上回る選手が出てこなかった場合は、今日の3位の選手が内定となります。

 

とにかく速い選手が選ばれる可能性があるわけです。たとえ順位が奮わなくても、タイムさえ良ければ選ばれる。となると、けん制して集団の中に入るような走りをしていては難しい。うまく速い流れになればいいですが、自分から速い流れを作り出し、かつそのうねりの中心になれるか。積極的、かつ強さが求められるので、今日とはまた違った難しさが出てくるでしょう。

 

 

男子は福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソンが対象大会。タイムは大迫選手が選考過程で日本記録を出したので、それを上回る2時間5分49秒以内でかつ最高タイムの選手。そう簡単に出せるタイムではないので、個人的には大迫選手で濃厚かと思っています。

 

女子はさいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンのいずれかで2時間22分22秒以内で最速タイムを出すことが求められます。男子に比べれば可能性はあるかとは思いますが、当然簡単なものではありません。

 

今日3位だった選手が確定させるためにタイム狙いで挑戦する可能性も無くはないでしょう。

特に小原選手は前回のリオの選考の際に、名古屋ウィメンズマラソンで競り負けて「1秒」に泣いた選手。今回も4秒まで迫ったものの内定を得られず。個人的には今度こそ代表に入ってほしいと感じてしまいます。

 

ともあれ「とにかく1番速い」選手が入るわけです。これもまたわかりやすい。今日争った選手がさらに突き抜けるのか、あるいは新しい選手が出てくるのか。今年の冬シーズンも楽しみです。