高いハードル。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

各地で市民ランナーが走れる大会が行われた今日、トップランナーが集う福岡国際マラソンも行われました。

男子のMGCファイナルチャレンジの対象大会の1つ(参考記事:アツイ戦い)。東京オリンピック出場に向けては、3月の東京マラソン、びわ湖毎日マラソン、そしてこの福岡国際のいずれかで2時間5分49秒以内の日本記録を出すことが必須となります。

 

順位も大事でしょうけれど、そこを狙うランナーからするととにかくタイムが求められます。代表権ということだけ考えると、1位だろうとタイムに届かなければ意味はありませんし、100位だとしてもタイムを突破すれば権利をつかめるわけです。相当に速い展開を予想していました。

 

実際にレースは1km当たり2分50秒台後半を刻み、5kmsplitでは14分50秒台で推移。例年3分ペースが先頭のペーサー設定でしたから、かなり速い設定。
そこに積極的についていって中盤まで流れに乗れたのが、佐藤悠基選手、市田孝選手、藤本拓選手の3人。

 

25kmほどで市田選手、そして佐藤選手が脱落していく中、序盤から集団の前に位置するなど最も気持ちを感じさせる走りをしていた藤本選手がペースメーカーが外れる30kmまで先頭争い。

ペーサーが外れたところでもう一人残っていたダザ選手のスパートに振り切られ、ついていくどころかペースを維持することが難しくなった様子。表情も苦しく動きも小さくなってしまってました。

 

結果2時間9分36秒で全体2位(日本人トップ)。数年前なら「サブテン(2時間10分をきること)達成!」と騒がれたのでしょうが、ここ数年のレベルの高さや今大会の位置づけもあって、残念という印象に。

 

優勝したダザ選手は自己ベストが5分台でしたが、2時間7分10秒。
これも高い記録ではありますが、終盤には目に見えて失速をしていました。
気温も影響をしたと思われます。パフォーマンスに影響をすると言われている気温が15℃。これを超えると負荷が高まるというデータがありますが、この日の福岡は、まさに大会が行われている13時に19.5℃を記録。記録を狙うという意味では簡単ではない気象条件だったかもしれません。

 

でも、この挑戦だからこそ見えた展開もありますし、選手としても経験は大きいのではないでしょうか。藤本選手自身も30kmまで日本記録ペースで行けたことに手ごたえを感じているようなコメントもありました。

この経験を生かして、さらにレベルの高い争いが今後みられるようになっていけば…

 

 

今大会を見ても、いかに高いハードルであるかがわかりました。日本記録更新が必要なのですから当然ではあります。でも数年前は国内で2時間10分を切ることが高いハードルでした。これが最近では当たり前の光景になってきています。
5分台、6分台を高いハードルではなく「見慣れた景色」になることも可能性としてはあり得ます。

選手だけじゃなく、運営や周囲の取り組みもこの高い水準を当然にできるようにサポートしていく必要も出てくるかもしれません。変わる勇気、変える行動。 

 

 

残すファイナルチャレンジの大会がどうなるか、楽しみです。

 

 

蛇足。
オリンピックを狙うには、やるしかない状況。でもそれを狙うかどうかは選手自身が決めます。自分のベストの走りを狙う事もできるわけです。
速いペースで潰れるような設定をしたところに反対意見もあるようですが(もちろん商業的な側面も一定はあるでしょうけれど)、わかりやすいシステムでもありますし、強制でもない。

一定の評価はしていいのではないかと個人的には思います。