土俵を去る。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

第72代の横綱稀勢の里が引退を発表しました。

先場所終了後に横綱審議委員会からの「激励」を受け、出場に半ば無理矢理持って行かれた印象のあった今場所。
初日の御嶽海戦は相手の強さが見えた印象で黒星。しかし、2日目逸ノ城戦は攻め込もうという姿勢は見えましたが、ただでさえ腰の重い逸ノ城を押し込むことは出来ず、厳しい体勢になりはたきこまれて連敗。
私はこの取組後の稀勢の里の表情を見ていて、意を決したかのような印象を受けました。妙にふっきれたかのような。

 

出来ることなら私が抱いたこの印象が勘違いであればと思っていましたが、残念ながら3日目栃煌山にもいいところなく両差しに組まれ力なく寄り切られて3連敗。

負けるだけなら勝負事ですし、横綱相手ということで相手も必死なので仕方がないですが、この連敗に関しては内容が良くありませんでした。勝てそうな予感がほとんどしなかったのが率直な感想です。

 

そして4日目の土俵に上がることなく引退の発表。怪我をしながらも掴んだ優勝がその後の現役生活に影を落としたというところは否定のしようがないでしょう。(参考記事:地位が人を作る。)

(画像は2017年3月、優勝時のもの)

待望の日本人横綱ということで、周囲から過度とも思える期待をされ、負けることを必要以上に取沙汰され、普通のパフォーマンスをすることさえ難しい精神状態だったのではないでしょうか。もちろんそれに耐え、さらに期待を越える活躍をするのが横綱であると言われればそれまでですが、「スポーツ」には関心がないであろう番組が良くない情報だけ扱っていたことには違和感しかありません。

 

相撲協会や横綱審議委員会(そもそもこの委員会は何がしたいのかわからなくなっている気がする)の圧力もあり、怪我が治る前に出場を余儀なくされていたのではとさえ考えてしまいます。

大関であれば陥落しても本人の意思と身体がついてくれば長く現役として取り続けられますが、横綱はそうはいきません。そうなったのは仕方がないのですが…寂しいですね。

 

ともあれ、もし彼が後進の指導に当たるのであれば、自身が苦しんだだけに大事に育ててくれるのではないかと期待してしまいます。望むのであれば、相撲人生はこれからの方が長いのです。

今はただ、お疲れさまでした。