集中して発揮できる力。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

先週末に行われた体操のNHK杯。個人的に特に注目をしていたのは男子個人総合でした。先月の全日本選手権の得点と合わせて行われるので、質の高いパフォーマンスはもちろん、苦手種目も含めていかにミスを減らし取りこぼしを少なくするのかというまさに総合力が問われます。その上位2名に入れば世界選手権の代表に入ることが出来るので、トップ選手が照準を合わせてくる大会の1つでした。

 

先月の全日本で優勝した谷川選手が2大会続けて良い演技を出来るのか。白井選手が一気に世代交代をアピールするのか。それとも、ここ10年ほど常にトップを走り続けてきた内村選手が盛り返してくるのか。月並みですがその辺りに注目。

種目別ではそれぞれスペシャリストがいますが、総合となると数名に絞られてくるのではないかと勝手に予想しておりました。

 

 

その強さ

3位でスタートした内村選手は各種目しっかりとまとめて点差を若干つめながら、比較的点数の伸びない種目もこなしていきました。

対するトップスタートの谷川選手はあん馬での失敗など、全日本の時ほどの安定感が見られず苦しむ展開。

それでも最終種目鉄棒を残しても順位は変わらず。

 

上位3選手の中で最初に演技をしたのは内村選手。5種目目の平行棒では、素人目に見ると「安全運転」という印象を受ける丁寧な演技。それに対して鉄棒は、大胆にそして「いつも通り」と言えるキレイに足先まで揃った大きな演技。

最後の着地を決めた瞬間は鳥肌が立ちました。

抜群の集中力で圧巻の演技。一気にトップに躍り出ます。

 

その次に演技をした白井選手はここまで2位。構成点で内村選手に劣る分、完璧な演技が求められる中大きなミスなく終わらせましたが、内村選手には及ばず2位。床や跳馬といった得意種目ではさすが!という演技ではありましたが、あん馬やつり輪、平行棒で点数が伸ばせなかったのが響いたようです。

 

 

最終演技者となった谷川選手。

実際に演技をしている選手がどこまで点数などを考えながら試合に臨んでいるかは知る由もありませんが、「これが決まれば優勝(代表)かも」と頭をよぎる状況。少なからずプレッシャーはあったのではないでしょうか。ましてや追いかけてくるのが白井・内村両選手という世界でも実績十分な選手たちですから。

 

そういうところが影響したのか、鉄棒ではまさかの落下で点数が伸びず。NHK杯単体では全体9位と点数が伸びずに4位に終わり、代表の座を逃しました。

 

 

逆にそこで際立ったのが内村選手の勝負強さ。

全日本も今回勝利したNHK杯も10連覇という前人未到の記録を持ち、世界の中でも常に追われる側でやってきた選手。

「ここで決める!」という場所でバチッと決めてくるその集中力と勝負強さというのは、凄すぎて言葉がありません。

 

 

自分を信じる

内村選手は試合後のインタビューの中で「練習も十分してきたので、いつもどおりリラックスしてやれればいいと思っていた。鉄棒の着地が決まった瞬間は、これで世界選手権代表になる2位以内じゃなかったらありえない」と話していました。

 

大会に向けての日々の中で、どこまで突き詰めて練習をしてきたのか。そしてそれを発揮出来れば十分に勝負が出来るというところまで自信を深めていたことが感じ取れます。

それを考えて実践できるには、もちろん経験というのが大きいとは思いますが、日常でどこまで追い込めているのかというのが関係しているのでしょう。

 

私たちも何かの目標に向かって挑む際に、漠然とやるのではなく強いこだわりとテーマを持って行いたいものです。

日によってはそれが難しく感じたり、達成できないこともあるかもしれません。でもそういうものを繰り返しながら、今の自分が出来ることや強みを掴み、自信を深める。一方苦手だと思うところは、しっかりと見つめながら埋め合わせをするように作戦を組む。それは弱点を鍛えるという方法もあれば、長所を徹底的に延ばして補うという方法もあるでしょう。

あなたの取り組みの中で、良い方法を選べばよいのです。

 

 

どんなに集中力を研ぎ澄ませたところで、自分が培ってきたもの以上を出すことは困難です。

培うためには直前に焦って準備をするのではなく、無意識化での意識を出来るレベルまで持って行くくらいのことが必要でしょう。日常から意識を持ち行って、当たり前に「いつも通り」を発揮できるようにしたいですね。