30kmには壁があるのか?①

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛の野見山健治です。

 

マラソンはメンタルの競技ともいわれています。どんなに速いランナーでも2時間、時間の限り走るランナーも概ね7時間は動き続ける必要があります。体力はもちろん、その持っている力をどこまで発揮できるかという点に関しては、思考による影響は少なくありません。

大迫選手に抜かれたとはいえ、今年の初めに東京マラソンにて日本新記録を更新した設楽悠太選手も「30kmからは気持ち」と言っています。

 

よく耳にするのが「30kmの壁」と言う言葉。物理的に壁があるわけではありませんが、ある一点からまるで全く別の身体になったかのように動かなくなる。そんな状態を経験したことのあるランナーは多いのではないでしょうか。

 

たとえ余裕のあるペースで走っていたとしても30kmも走れば、どんなレベルのランナーであっても多少なりとも疲労はあります。極端な話100km以上のウルトラマラソンに出るランナーが30km地点で疲れていないかというと、疲労度が小さく感じているだけで距離相応の疲労はあるわけです。(一流選手はまた違うかもしれません)

その疲労の中でしっかりと気持ちを保ち続けることが出来るのかが、そこまで培ってきたものを出し切れるかどうかのカギだと考えます。

 

 

「最後は気持ちだよ!」なんてトレーナーが言うのは無責任かもしれませんが、実際に大きな影響を及ぼし得ることで無視することは出来ないと考えます。

 

メンタル面

フルマラソンに挑戦しようと決めた(決まってしまった)方は、少なからず準備をするはずです。数か月から場合によっては数年単位でトレーニングを重ねたり準備を進めてきていると思われます。何もしないでいきなり本番を迎える方も少なからずいらっしゃいますが、それに関してはノーコメントで。

 

準備期間の練習では、昨日の自分を超えるためのきつく感じる内容もこなしてきているはず。その時の気持ちはどうでしょうか。

「フルマラソンを(○○で)走るため!」という気持ちがあるはずです。だからこそ寒い日も、暑い日も、ちょっとだるい日も乗り越えられたはず。

 

そこまでの準備に比べて、実際に走る時間は数時間。苦しくなるのはその後半の数十分程度。今、その努力を形にしている自分がいるのです。

 

「たった数十分のために、今までの数か月を無駄にしていいのか。」

 

自問自答してみてください。答えはおのずと出ると思います。

 

 

また違う目線から、そこまで来たら「皆キツイはず」なのです。あなただけでなく、皆同じ条件。そこで妥協をするのか、もうひと踏ん張りをできるのか。ただそれだけの違いです。

 

脳は苦痛や疲労から逃げようとして、楽をしようとします。それは自己防衛のためと言われています(セントラルガバナー理論といいます)。でもそんな時、知り合いから応援をしてもらったりゴールが見えてくると、そこだけでも頑張れてしまうこともあるでしょう。その時に脳は違う意識に働いたからです。その働きを利用できれば壁をあっさり乗り越えられる可能性があるのです。

 

この苦しいところを乗り越えたら速くゴールにつける。あとたった○○だけ。

 

 

30kmを壁ではなく、スイッチを入れる場所として捉えてみるのも良いかもしれません。

「30kmに壁がある。そこからどうやって走ろう…」

 

こう考えている場合には、ほぼ100%壁にぶち当たります。なぜなら自分で壁を設定しているから。見えないのに、そこに物理的にはないのに意識をして作っているから。

 

ないんです、そんな壁。

終盤は楽しい場所なんです。マラソンの醍醐味なんです。そこは、あなただけのステージです。見せ場です。

 

ここに差し掛かった時のイメージが「まだあと12kmもある」なのか「もう30kmも来た。ここから見せ場」なのか。やってきたことは同じでも、どちらの思考をするかによって感じ方は違います。

 

脳を自らの指令で、動くように仕向けてみましょう。(ただし、本当の危険サインであることもあります。無理と頑張るは違うのでそこは冷静な判断が必要です)

 

 

マラソンに限らず、こなした練習が全て結果に出ることはないかもしれません。ですが、練習をしていない人が結果を出すことはありません。

笑顔でゴールを駆け抜けるために、走り終えた後に「やりきった」と思えるように、ちょっとした意識をしてみませんか。

 

 

というわけで、メンタル面からいうと、壁を作り出しているのは自分自身であると言えるでしょう。壁、取っ払っちゃいましょう。成功体験に、そして達成した時の自分に目を向けましょう。

 

 

フィジカル面についてはまた改めて触れてみます。