考えなくなるまで考える。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

突然ですが、あなたは立ち上がるときに、考えて立っていますか?

 

立つときには足の裏を地面につけて、重心はここに乗せて、膝を起こして・・・などと1つずつの動作を考えたりはしませんよね。

気を付けたいポイントなどを気に掛ける方はいても、動作の全てを考えながら行う人はいないでしょう。

 

少なくとも私は考えていません。

それは身体が覚えているからです。

 

 

考えることはエネルギーロス?

ランニングをするときに、「腕はこう振って」、「脚はこう上げて」、「視線は・・・」、「ペースは・・・」などと色々なことを意識している方もいると思います。

意識している時は出来るかもしれませんが、状況が刻一刻と変わっていき体力も使っていく中で、終始それを続けるのはなかなか簡単なことではありません。

 

しかも考えて無理にその動きをすると、その周囲の筋肉も浪費してしまい疲労を早めてしまいます。

 

 

そもそも「頭で考える」ということは、そちらにエネルギーを使ってしまっているということになります。

脳は体重の2%ほどの重量ですが、そのエネルギー消費は18%という説もあり、細かい数字はともかくとして、脳が体の中で重量比では最も多くのエネルギーを必要とする部位であると言えます。

大きなエネルギーを必要とする脳で「考える」という作業をし続けていては、疲労してしまうのは想像に難くありません。ましてや長時間走るマラソンをしているのでは尚更です。

 

 

考え抜いて考えない境地に

とはいえ、フォームや戦略については大会の時は意識したいですよね。

 

意識したい動きや作戦をエネルギーロスが少なく行うためにはどうすればいいでしょうか。

それは、頭で考えなければいけない動作を身体になじませてしまえばいいのです。

 

先に書きましたが、考えているうちは力みがあったり、不自然なものになっています。

 

 

なじませると、言葉でいうのは簡単ですよね。

そのために具体的に一番良いと考える方法は、「ジョギング」を利用することです。

 

 

 

ポイント練習よりジョギングが肝

 

あなたは「ジョギング」をしていますか?

このジョギングをはじめ、言葉の定義には色々なものがあり、「○○くらい」と言われても各個人の感覚は異なるので、計算のように明確な答えがある場合を除いて受け取る人によっては全く違うものになるかもしれません。

 

 

私の言うジョギングは何も意識しなくても、「楽に」走ることのできるスピードです。

呼吸が上がるわけでも、頑張るわけでもなく、快適にお喋りできそうなペース。ゆっくりというわけではなく、気分も乗る快適に感じるペースってありますよね。

 

 

その無意識でも走れる時にこそ、やりたい動きを徹底して意識します。

余裕があるからこそ、細かい部位にも意識を向けることが出来ます。

 

 

強くなりたいからと毎回ポイント練習(負荷の高い練習)とすると故障の原因にもなりますし、何よりかえって強化が難しくなってしまいます。

しかも、インターバルなど負荷の高い練習の時には、ペースを守るのが精一杯であれやこれや考えることは難しいと思います。

 

 

「つなぎのジョグ」と耳にすることがありますが、全部を単なるつなぎにするのはもったいないです。

 

普段の比較的楽に走れるペースでの練習でこそ、意識したい場所への感覚を研ぎ澄ませておくことで、今まで出来なかったことを「普通」にするのです。

というのも、ジョギングはランニングトレーニングの軸となる、練習時間が長くなる部類のトレーニングのはずだからです。

 

軸を強固なものとして、考える必要もないほど自然に動けるようになった時、あなたは確実にステップアップを出来たと言えるでしょう。

その時には、さらなる課題も見えてきて、また新たな景色が見えてくるでしょう。

 

 

これを繰り返すことで、本番や予想しない状況が起きたときに余裕を持って対応することが出来るようになるだけでなく、結果的にステップアップに繋がります。

 

あなたが大会当日に、その時までに培った潜在能力を存分に発揮出来る姿を想像してみてください。

楽しみでワクワクしませんか?

 

普段の楽に走れるときこそ、やりたいことに意識を強めて、不自然を自然にしてしまいましょうね♪