そこに力はあるのか。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

元日のニューイヤー駅伝、2・3日の箱根駅伝が終わりました。(参考記事:復路、熱かった。)

ここまで見て初めて正月終わった気分…あとは出来れば高校サッカー、ラグビーも観たいところ。我ながら仕事せい(笑)

 

 

さて、この際立って注目度の高い箱根駅伝で、もうひとつ個人的な関心はシューズでした。このレベルの選手たちはチームが提携しているメーカーのものを使ったり、ソールなどをある程度調整してもらう形でシューズを履くことが多いといいます。
2017年まではasics、mizunoが多数派で、それにadidas、nikeが続く形でした。2018年にはadidasの匠シリーズを作り出したシューズ職人三村さんとの契約をしたNB)(ニューバランス)が猛追。そしてそれと構造上「対」をなすと言っても過言ではないnikeの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」がトップに躍り出ました。

 

そして2019年の箱根駅伝では出場選手の約4割95名が履いていたそうです。

箱根駅伝は「ナイキ」厚底シューズの圧勝 約4割の95選手が履くーhttps://www.wwdjapan.com/765074

昨年のマラソンにおけるこのシューズを履いた選手が世界記録を出したり、日本国内でも日本新記録を2度も更新したなどの実績を考えると、人気になるのは予想していましたがここまでの数とは思っていませんでした。

 

 

厚底のもたらすもの

「厚底」=衝撃を和らげてくれるというイメージが従来のものでした。実際に大手のスポーツショップなどに行くと初心者向けのエントリーモデルには厚めのつくりのものが多いです。
正直なところ、私は初心者=厚い底で衝撃を和らげるという考えではありません。というのも、厚くなった結果地面からの足部までの距離が高くなるわけですから、その分着地が不安定な場合は、歪みがより大きくなり膝や足首などの関節にかかる負担は大きくなる可能性があると考えるからです。(参考記事:まず足元から。)

(画像はイメージです)

 

 

さて、今話題のNIKEヴェイパーフライは、その点全く違うコンセプトから生まれています。このシューズは反発力を生み出すためのソールです。公式サイトでも「厚さは速さだ」というコピーです。あらゆる力を推進力に変えて、ランニング効率を向上させることを実現させたモデルということです。他者も厚いソールで反発力を生み出すモデルを出してきています。
これは言ってみれば、トランポリンの上のようなイメージと言えるかもしれません。タイミングよく反発力を生み出すような足の運びが出来れば推進力に変わりますが、そうでない場合はかえって衝撃が大きくなってしまうこともあります。

今までにない速度が出せる可能性がある一方で、筋力や走り方が耐えきれないということもあるかもしれません。

 

シューズ選びにはある程度流行が絡んでくることは仕方がありません。形や色というのは年々変わっていきます。ですが、厚い=柔らかいという発想で、安易に流行に乗ってこのシューズを選ぶのはリスクが高い気がします。

またこのシューズを履けば速くなったとしても、このシューズ以外では速く走れないとしたら、それはあなたの身体にとって進化ではなく退化である可能性もゼロとは言えません。

 

ある程度の速さを持ったランナーであれば、その力を自分の力に変えることは出来るでしょう。まずは効率の良い身体の使い方を身に着け、それを体現する強い身体を作った上でこういった「武器」を手にすれば、さらなる好記録に繋がるかもしれません。道具を使いこなすか、振り回されるかはあなたの取り組み次第です。