復路、熱かった。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

2日の箱根駅伝の往路は見どころがたくさんありました。(参考記事:往路、いろいろありました。)

優勝争いを考えても面白い展開に。当然3日も釘付けに。もう色んな物そっちのけ。万が一寝落ちしても大丈夫なように、録画をしながら万全の態勢で(笑)

 

 

展開

まず6区。山下り。

先頭を追う東海大学は中島選手が昨年同様力走を見せ区間2位で追い上げる。往路5位法政大学の坪井選手も58分台と好記録。さらには青山学院大学の小野田選手が6位スタートながら、昨年の自身の記録を上回る区間新で追撃開始。青学は復路だけでなく、かすみつつある総合優勝に向けて勢いをつけた。それでも先頭スタートの東洋大学は昨年も6区だった昨年区間賞だった今西選手を配置。その経験を見事に生かし、区間3位と後続を寄せ付けない素晴らしい走り。

区間記録を出しても、数秒しか差を縮められなかったのは青学にとっては誤算か。気候のせいなのか、好記録が連発。ちょっとした失敗が致命傷になりかねない流れは往路同様に強く感じた。

 

 

7区。青山学院は昨年MVPとなった林選手で一気に差を詰めるつもりだっただろう。実際、見事な攻める走りで区間賞を獲得。
それでも先を行く東洋大の小笹選手(区間3位)、東海大の阪口選手(区間2位)も譲らない。その思惑はまたしても外れたものと思われる。

特に阪口選手は先頭との差を一気に縮め、先頭東洋との差をわずか4秒まで詰めた。東洋の小笹選手が区間3位だったことを考えると、いかに阪口選手の走りが素晴らしかったかがわかる。そつなく走る駒沢も上位を狙っている状態。

 

8区。

2番手東海大の小松選手が数秒の差を一気に詰め、先頭東洋大の鈴木選手とのマッチレースと言う形に。
見ていた私は、お互いにけん制しているように感じた。このまま2校での順位争いに没頭している間に、後ろから青山学院や駒沢が追い上げてくるんじゃないかと思いながら見ていた。

序盤から横に並びかけては様子をうかがっていた小松選手、終盤に一気にペースを上げて勝負に出た。
そのまま1分近く突き放す区間新の快走。正直、序盤の展開がこんなに速いペースで推移していたとは思わなかった。逃げようとする鈴木選手を逃がさなかった小松選手が凄かったということ。先頭を譲る形にはなったものの鈴木選手は区間3位。非常にハイレベルな先頭争いが繰り広げられていた。

青学飯田選手が区間2位、駒沢大学伊勢選手が区間4位と上位校がきっちり走る。それでも先頭の3番手青学は3分30秒、4番手駒沢は4分30秒ほどの差。よっぽどのことがない限り、上位2校に絞られてきたか。

 

9区。復路でも力のある選手が配置されることの多い区間。

先頭に立った東海大学は湊谷選手。個人的には正直駅伝では少し脆いような印象を抱いていたのだが、力強い走りだった。区間2位で走りきる。
追う東洋大学は中村選手が伸びない。むしろ後続の青山学院大学に迫られる苦しい走り。区間19位と沈み、先頭との差が一気に3分30秒ほどに拡がってしまった。ここまで大きなミスなく来たチームが上位だったことを考えると、この勝負どころで伸びなかったのは致命的と言えるほど痛い。
青学は吉田選手が区間賞。復路だけで3つの区間賞と猛烈な追い上げを見せるも東海がタイムを詰めさせない強さを発揮。ほぼ独走状態を築き上げた。

 

最終10区。いよいよ勝負が決まる。

この日エントリー変更の青学鈴木選手が早々に東洋大沢選手をとらえ、2番手に浮上。さらに見るからに気持ちのこもった走りでイチかバチかとも思える追撃。
しかし先頭に立った東海大の郡司選手は終始落ち着いた走りを見せる。中盤以降は風の影響もあってか後続が伸びきれず差を詰めることは出来なかった。

このまま東海大学が初の総合優勝となった。復路だけ見ても2位(タイムは復路新記録)と、今まで注目されていた速さだけでなく強さも加わった印象だった。

 

2位には往路で出遅れた青山学院大学。復路の区間順位は1-1-2-1-2と圧倒的な強さで復路新記録で優勝をおさめ、その強さ、層の厚さを見せつけた。
3位には往路優勝の東洋大学。区間順位2ケタが続けて出てしまうと、やはり優勝争いをするチームからすると苦しい。安定感は見せたが、ここぞの層の厚さと言う点では上位2校に比べると少し物足りなかったように思う。

4位には予選会から戻ってきた駒沢。ほぼ全区間で区間順位一桁と大砲はなくてもそつなく走った印象。復活への足がかりになるか。10区で区間賞を取った星選手が帝京大学を5位に押し上げた。5区山登りで流れを作った法政大学が復路も良い流れを保ち、目標には届かないものの総合6位。同じく5区で区間賞を取った国学院大学は復路では伸び悩んだものの往路の貯金が大きく、7位に入りシード権を獲得した。

 

一方昨年上位だった早稲田や日体大、常連の中央大などはシード権を逃した。

 

 

感じたこと

どこの大学というわけではなく、全体的に選手の持ちタイムや走力は上がっているように思う。だからこそ「ブレーキ」がより許されなくなってきている。実際に大きなミスしっかりと繋いだ駒沢などは区間賞などなくても4位に入った。優勝争いと言う面から見て区間2ケタが続いた東洋が脱落したのは、その辺りが影響している。

その上で、山の重要性。
復路12位だった国学院がそれでもシード権を獲得できたのは、間違いなく5区の好走があったから。シード権を確保した大学の中でも復路では伸びなかったのが国学院(12位)・順天堂(13位)・拓殖(15位)。往路の山登りまでで貯金がある、あるいはある程度の流れを作ることが大きく結果に影響していると言えるかもしれない。

逆に復路新記録で復路優勝を果たした青山学院が総合優勝に届かなかったのは、やはり4・5区での遅れが影響していることは誰が見ても明らか。

山下りでは最近大きなブレーキが起こっておらず、今回も58分台で5名、59分台で6名と全体的に速い流れで差が付きづらくなっている。このことからも山、特に上りと全体を通してそつなく走ることの重要性がさらに増している印象だ。

 

 

…とか、書いているうちに自分が熱くなっているという(笑)

それくらい面白かった!出身大学もシード権を取れたことも嬉しかった。レース展開だけでなく、「この選手肩甲骨の使い方が上手いな」とかマニアックな見どころを探しながら見ると興味深いものが見えてくる。

その発見をまた自分のなかにしっかり落とし込み、そしてお客様に繋げていけたらと思う。

 

選手、関係者の皆様、ありがとうございます。お疲れさまでした。