「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛の野見山健治です。
今日は大阪国際女子マラソンが行われました。
東京オリンピックのマラソン代表の選考レースとなる「MGC」への出場権もかかっているため、東京五輪を見据えるランナーが集まってきます。
特に注目されていたのは、今回が初マラソンとなる松田選手、昨年の名古屋ウィメンズにおいて初マラソン日本記録最高記録を出した安藤選手。参考記事:その走り、独特。
そして、すでに北海道マラソンにてMGCファイナリスト確定となっている前田選手といったところでした。
見どころのある展開
レースは、20km地点を過ぎるとペースメーカーも次々といなくなり、先に挙げた注目の日本人3名とペーサー1名のみとなるちょっと寂しい展開。
それでもここからの展開は面白くなりました。
前田選手が25km地点を過ぎたあたりで仕掛け、後続を突き放す。
27km辺りから先行する前田選手を追い始めた松田選手がじりじりと差を縮めていく。安藤選手はそのペース変化についていけず。
30kmを過ぎたあたりで松田選手が前田選手をとらえ、さらに抜きにかかる。
その後は、初マラソンとは思えない力強いLapと走りを最後まで見せ続け、まさに完勝。
まだまだ余力さえ感じさせるほどの表情で初優勝のゴールとなりました。
凄かったのは、一度スパートをかけられ一時は10秒以上離されたにもかかわらず、一気に追い上げずに無理なく少しずつ差を詰めていった松田選手の冷静さ。
35km以降のSplitも16分台でまとめるなど、終盤も含めて初マラソンとは思えない走りでした。
そして一度仕掛けた前田選手も、その後脚が止まるわけではなく35km以降も17分台半ばでしっかりと粘っていました。
結果として自己ベストを約5分と大幅更新する見事な走り。
初戦ほどのインパクトは残せずも、MGCへの挑戦権はしっかりと確保した安藤選手。
いずれもまだ若い選手なので、今後が楽しみです。
目立つところではなく「なぜ」に目を向けたい
今回優勝した松田選手に対しては、「なにわの腹筋女王」なんて大層な名前をつけています。実際に1日1000回を上回るトレーニングをしているというのですから、凄すぎます。
でも実際こういうコピーをつけるのに本人の気持ちはどれほど影響しているのでしょうか。マスコミは面白ければいいというスタンスな気がしてしまうので、気になります。
…いや、そういうことを言いたいのではないのです。
これを見た人は、腹筋を尋常じゃない回数をこなしていること、割れていてバッキバキのシックスパックに仕上がっていることに注目してしまいます。
あなたはどう感じますか。
このことは確かに凄いことです。真似しろと言われても簡単にできることではありません。仮に100%の効果が約束されていても、実行して完遂出来る人は少ないでしょう。
でも考えてほしいのは、腹筋をしている事実ではなく、「なぜ」やっているのかということなのです。
彼女のフォームはパワフルですし走りに一瞬のキレもあるのですが、トラックでの走りを見ていると時折上半身が後ろに残って見えることがありました。
上半身が残る=反っている姿勢は、推進力の妨げになりやすいのです。
その反りやすい姿勢を矯正するべく、高校時代から腹筋の強化をしているそうです。
腹筋トレーニングは目的じゃなくて、速く走るための手段の1つなのです。
しかも自ら専門書を読みあさり、10数種類のメニューをこなしているというのだから驚きです。
そのおまけとして割れた腹筋が目立ってきたというだけのこと。
そういった本質を見なければ、せっかくの時間と労力を費やしても理想に近づけない可能性が出てきます。
今回の場合、「腹筋をすれば速くなる」と直結させてしまうのは危険です。
もし猫背気味の人が腹筋強化ばかりしても、ほとんどの場合意味がないでしょう。
その場だけ盛り上がればいいマスコミなら、そういう目立ったところに注目させられれば勝ちなのでしょう。
でも私たちは様々な情報をしっかりと吟味することで、自分の成長に繋げていくことが出来ます。深いところを見ていくことでその情報を自らに還元できる可能性が出てくるのです。
是非「なぜ」に目を向けて、自分に必要な情報を吟味する目を磨いていきましょう。
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