冷静さと気持ちの強さ。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

今日行われた別府大分毎日マラソン(通称:別大)をテレビで観戦しておりました。

 

今年のロンドン世界陸上の選考を兼ねた大会です。

昨年末の福岡国際マラソンは選考レースの1つに当たり、そこでは川内優輝選手が2時間9分11秒で日本人トップ(全体3位)を記録していたので、世界陸上の切符を狙うには今大会で日本人トップ、かつその記録がひとつの指標となっていました。

 

 

想定より早く離脱したペースメーカーの影響もあり、半ば強制的に動き出したレース終盤。

序盤から先頭集団の後方で息を潜めるように淡々と自分のリズムを刻み続けていた中本健太郎選手。

 

ペースを切り替えふるい落としが始まった先頭集団は一気に少なくなっていき、終盤にはデベレ選手と中本選手のマッチレースの様相に。

小刻みに仕掛けを繰り返し、後ろを振り切ろうとする中本選手は38km過ぎでその追走を振り切り、2時間9分32秒でフルマラソン初優勝を飾りました。

おめでとうございます!!

 

 

中本選手は、4年前に同じ別大で川内選手とのデッドヒートの末自己ベストにもかかわらず2位に甘んじています。

そして今回、選考レースで最初に名乗りを上げたのがその川内選手。

 

終盤、後方との差よりも時計を気にするしぐさが目立った(ように見受けられた)ので間違いなく意識していたと思います。

「優勝が目標」と公言しつつ、また見えない相手とも戦っていた中、記録こそ及びませんでしたが優勝という素晴らしい結果を掴み取りました。

 

 

ベテランならでは(※フルマラソンの経験に限定すると川内選手の方がはるかに回数が多いですが)の冷静な走り、そしてその強い気持ちは次元こそ違いますが、我々市民ランナーも見倣うことが出来るポイントはいくつもあります。

 

 

まずは自分をしっかりと見据える。

何を準備してきて、今の体調はそれを体現できる状態なのか。

 

そういった自分の中での素材ひとつひとつがそろった時に初めて、外に対する意識を向けて結果を残すことに繋がります。

 

今日の中本選手の中盤までの走りのように、集中して「その時」に備える。

それが揃った時に納得のいく結果を手繰り寄せられるチャンスがきっと拡がります。

 

 

理想や目標ばかりを追いかけても、納得できるレースにするのは難しいでしょう。

是非とも自分の中との対話をして、レース中も頭は冷静に走れるように準備をしたいですね。

 

 

 

 

ちょっと蛇足

選考レースに関してですが、コースも違えば、気候も違いますし、出場する選手も違います。

比較するのは難しいですが、個人的には数字には表れにくい気持ちの強さも加味してほしいところです。

 

 

そもそも最大枠3名(+補欠1名)に対して、福岡国際、別大のほか、今月末の東京、来月のびわ湖毎日と4レースもあると、また選考過程で揉めそうな予感がありますが…

 

ルールで決まった以上、その辺は我々は見守るしかないので圧倒的な存在感を放ってメディアも世論も納得させられる選手が選ばれることを願うのみです。

 

 

もうちょっと蛇足

選考レースとは関係がありませんが、今日はハーフマラソンでも注目の香川丸亀国際ハーフマラソンが開催されていました。

リオ五輪でも上位に入った選手や実業団、大学などで活躍する国内外のトップクラスの選手が集結する屈指のスピードレース。

 

 

優勝はリオ五輪のマラソンで9位に入ったカルム・ホーキンス選手でタイムはなんと1時間0分0秒(Ave. 2分50秒/km)!!

もはや凄すぎて想像のできない次元です。

 

昨年現地で観戦していたのですが、そのスピード感は言葉では言い表せないほどでした。

そんなレベルの中、3位に食い込んだのがまさかの高校生。倉敷高校の留学生ムァゥラ選手。

 

大迫傑選手や神野大地選手、設楽悠太選手と言った日本のスピードランナーを抑えての堂々の3位。

そのポテンシャル、恐るべし…

 

日本育ちの海外留学生は、その後国際舞台で活躍することも多いので、今後に期待したいところです。

 

 

と同時に、こんなランナーがいたら駅伝は優位に進められるよなぁとも少し思いました。

負けないように、総合力で打ち負かすチームが出てきてほしいです。