水分の準備。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

フルマラソンの本格的なシーズンは終わりましたが、これからトレイルやウルトラ、トラックなど同じランニングでも違った種目が盛んな時期になってきます。

トラックは短時間で終わることが多いですが、それ以外のものはかなり長時間を使って動き続けることがあります。

 

このゴールデンウィークにも、川の道フットレースという520kmの大会や萩往還マラニックという最長250kmを走るような大会をはじめ、ちょっと想像のつかない大会が行われていたりします。

 

知れば知るほど恐ろしいですね(笑)

 

 

注意が必要な時期

北日本を除いて、ほぼ全国的に気温が高くなってきた最近。

場所によってはすでに25℃を越える夏日を記録することもあります。これだけ気温が高くなってくると、身体で感じられる発汗量も増えてきます。

 

気温が高くない時でも給水は大事なのですが、この時期は特に重要です。

1年の中で比較的気温が低い時期で、身体が発汗することにまだ慣れていません。そこで急に気温が高くなってきたので、体調には普段以上に気をつける必要が出てきます。

 

水分が失われ、体内のミネラルとのバランスが崩れてくると、脚が攣ったり、けいれんを起こしたりします。

脚などであれば多少の回復は期待できますが、痙攣が内臓などの組織に出てくると最悪の場合心筋梗塞など命の危険さえ出てきます。

 

運動時はもちろん、安静時でも水分補給は甘く見てはいけない重要な要素なのです。

 

喉が渇いたと感じたときにはすでにかなりの水分が失われています。

口に含む程度でも良いので、定期的にこまめに飲むようにしましょう。

 

 

給水の準備をする

運動時に給水を心がけている方は少なくないと思いますが、むしろこのような身体を酷使する日程が決まっているのであれば、その前には「給水の準備」は終えておきたいものです。

給水の準備とは、どういうことでしょうか。

 

まず考えなくてはいけないことは、人が水を飲んだ時に体内に吸収できる水の量です。個人差はありますが1時間で500ml前後と言われています。

単純計算で行くと、12分に100mlほど。

 

こまめに飲むことが出来るのであれば当日だけしっかり飲めばいいかもしれませんが、大会などではエイド地点は決まっていますし、重い荷物を背負って走るのは骨が折れます。

 

その前に失った水分と同量以上を、これほどゆっくりのスピードで運動しながら終始続けることは現実的ではありません。

 

ここで出来るのが準備なのです。

 

身体には細胞や血液などをはじめ、水分を要する組織が存在します。人の身体の60~70%は水分というほど身体で大きな影響を及ぼします。

そこにあらかじめ多めにストックをしておくのです。

 

かといって、2倍飲めば2倍ストックできるわけではありません。そもそも飲むのが辛すぎます。

普段から2リットル以上を当たり前のように飲んでいる人であれば、そのままで問題ないでしょう。

しかしそのような人は間違いなく少数です。

 

身体が欲するより少ない水分補給であるのなら、「いつもの1~2割増し」を1週間ほど前から行ってみてください。これくらいならそれほど苦痛ではないでしょうし、それでも効果が得られます。

飲むものとして日常で飲んでいるものでやることには抵抗が少ないでしょう。(かと言ってジュースの量を過度に増やすのはあまりオススメではありませんが…)

 

 

もし意識的に行うのなら、食事の汁物を少し多めに摂ってみましょう。水分と同時に塩分も補給できるからです。

塩分と同時に摂ることで、身体の中のミネラルバランスを適正に保つ助けになります。

 

純粋な飲み物の場合、2倍程度に希釈したスポーツドリンクなども良いでしょう。ひとつまみの塩を加えることで、身体により優しい飲み物が出来ます。

 

水ばかりを飲むと、これもまた体内のバランスが崩れてしまいますので注意が必要です。

 

 

カーボローディングというエネルギー調整の方法がありますが、同様に水分でもウォーターローディングという考え方が出来ます。

仮に増やせないとしても、不足していない状態で当日を迎えることが出来ればそれだけで十分に効果はあります。

 

いつもより「ちょっと多めに」、前もって準備。

安全にそして楽しく当日を終えられるように、是非とも試してください。