記録の波にあるヒント。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

陸上競技や競泳などの記録会や大会が少しずつ再開されてきました(参考記事:勢い)。まだまだ制限がされた中ではありますが、一歩ずつ前進。
より慎重に進める必要があるパラ陸上も再開されました(参考記事:多数の記録

 

そして興味深いのは、次々と好記録が次々と生まれている事実。もちろん選手の努力の賜物ではあるのですが、時期が重なりすぎています。何年ぶりという更新が短期間でここまで起きるでしょうか。
そしてその更新の幅も大きいものも目立ちます。

 

そこにはいくつかの要因があるのではないかと考えています。

記録が向上している理由

向上しているその理由として、大きく分けて5つの可能性を考えています。

 

1.
新型コロナウイルスの影響による自粛期間に今までとは違うトレーニングを余儀なくされたこと。
今まで行っていたトラックや現場での技術練習などの比重が高かったところから一人でもできる補強などに向き、技術を高い次元で体現できる身体の機能が高まった。

 

2.
実施される大会が減ったことにより、選手は目標を絞りやすくコンディションのピークを合わせやすくなったこと。
連戦を避けることで、効果的な休養を取ることも出来るようになった。

 

3.
トラックの素材の改良、シューズなどのツールがもたらす効果が大きくなったこと。
陸上競技に関してはトラックが新設されたり、新しい技術を詰め込んだシューズが開発されるなど選手のパフォーマンスを後押しする可能性のある流れが出来ている。パラスポーツのツールにしても新たな素材などで選手の負担を軽減したりということが出来てきている側面がある。

 

4.
身近にいる選手が高い次元でのパフォーマンスを見せることで、自分もできると感じてメンタルブロックがなくなったこと。
10年、20年前の記録の場合「マジか、こんな記録どうやって出したんだよ?」と感じる選手も出るかもしれない。
一方、直近まで競い合っていた選手が出した記録であれば、「あいつが出せるなら自分にも出来る!」と成功のイメージを作りやすくなる可能性がある。実際に男子マラソンや男子100mなどでは全体のレベルが押し上げられている印象がある。

  

5.
長期的なスパンで東京オリンピック・パラリンピックを目指していた選手のピークを迎えていること。
高い次元で実施しているアスリートは、大会から逆算して調整をすることが多い。その最大の目標であったはずの2020年夏に大きな波を持ってくるように調整をしていた選手が形となる結果を残している。

 

これらは全て可能性ですが、完全否定するだけの根拠はないかと思っています。

 

生かせること

もちろん技術理論の研究やトレーニングの質が向上をしているのは、今この瞬間もです。それはいつの時代も同じです。こうした流れが選手の後押しをしている事実には違いありません。
ただそれだけではこのように一気に爆発して何かが起こるということは多いとは言えません。

 

今挙げたようなこの半年くらいで環境が変わった事柄と記録更新の波は「たまたま」タイミングが合致しただけかもしれません。ただ検証するだけの価値は十分にあるはず。

 

この検証をすることで、アスリートはもちろん、一般競技者もパフォーマンスを上げていくためのヒントが見つかるのではないでしょうか。