JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。
昨日のトイレ対策に続いて、大会当日にランナーが直面しやすい「攣り」への対策に関してです。
攣りやすい場所としてはふくらはぎが多いと思われます。また足の裏も影響はそこまでではありませんが、攣ることがあると思います。
ランニング時における攣りの原因として考えられる主なものは、次のようなものがあります。
・疲労の蓄積
・発汗や給水(給食)による体内の水分・電解質バランスの崩れ
・突発的な動き
・急激な体温の低下
・精神的なストレスや緊張
その全てを完全に潰すことは難しくても、ある程度の対策は出来ます。
攣りやすい人とそうでない人がいますが、少なくとも攣りやすい人に関してはレース中だけでなくそこに至る過程での対策はした方がリスクは軽減できるはずです。
- 疲労対策
これに関しては、脚力・走力の向上を日々行うことが求められます。
今まで1km6分が精一杯だったのが、明日には5分で走れるなんてことはないのはわかりますよね。
持久力であれ、スプリント力であれ、一定期間をかけてじっくり育てていき、それに合ったレースプランで走ることで攣りを回避しやすくなるでしょう。
また大会直前の練習量を調整して、疲労を抜いておくことが必要です。
当日については疲労を軽減するためのテーピングをするのも一つの手です。
その場合は、練習時から試しておきましょう。
- 体内の変化
運動をすれば程度に差こそあれ、必ず発汗します。そして発汗時には塩分が放出されるので体内の電解質のバランスが崩れてきます。
水が不足してもいけませんし、逆に過度に水分だけを摂っても別の危険が出てしまいます。
スポーツドリンクなど体内に必要な成分が含まれているものを、適度に摂取することが必要です。
また普段の食事にナッツ類や小魚などを加えると、攣り対策に必要な栄養を摂ることが出来ます。
貯められるものはしっかりと貯めておきましょう。もちろん疲労以外ですが。
塩そのものがエイドに置かれていることがありますが、ランニングをしている時は胃にあまり食べ物がない状態がほとんどだと思います。
その状態で塩を食べるのは、疲労した胃の内壁に直接塩を塗りこむようなものなので、負担が非常に大きくなります。
極端な話、なめくじに塩をかけたような状態になり得ます。
仮に塩をなめる場合は、前後にある(と思われる)水と共にいただきましょう。
- 急に負担をかけない
走っている最中に、突然ペースを変えて猛ダッシュをしたり、カメラの撮影があるからと突然ジャンプしたりすると筋肉に大きな負担となります。
※私は調子乗りなので、このようなことを良くやってました(^_^;)
知り合いを見つけたり、「よしスパートだ!」と気分が乗ったりすると速くなることはあるでしょうけど、緩やかに上げるようにしましょう。
またランナーとぶつかりそうになったり、走路に落ちている障害物や段差を避けるために少し違う方向に脚を運ぼうとすることもあると思います。
それもかなりの負担になります。
なるべく前の前を見て、急な走路変更などをしなくても良いようにコース取りをしましょう。
- 体温調整
冷えは攣りを誘発することがあります。
トップ選手などは走っている際に水をかけたりしますが、疲労してきた脚に突然冷たい水をかけると一気に筋肉が収縮して攣りを誘発することもあり得ます。
コース内にトンネルなど気温が下がりやすい場所があるのであれば、簡単に着脱できるポンチョなどを持っておくと体温管理がしやすいでしょう。
なるべく急な温度変化をもたらさないようにした方がリスクは減ると思われます。
- メンタルケア
最後に精神的な面です。
大会当日に、時間ギリギリで会場入りして焦るという状況を経験したことがある人もいらっしゃると思います(私はいつもです・・・)。
この焦りというのは、精神的にストレスとなり見えない負荷をかけてしまっています。
また「攣るかもしれない」という不安な気持ちが、それを誘発する危険性もあります
「対策したから大丈夫」と思えるように前もって準備をして、当日に気持ちと時間にゆとりを持っておく。
そうすることで、快適に走ることにきっと繋がります。
仮に攣りそうな場合は、たいていの場合は予兆があるのでスピードを落としたり「優しく」接地するなどして様子を見ましょう。
万が一攣ってしまった場合は、無理に走り続けるのではなく少し休んで伸ばしてみましょう。
治らない場合は、諦める勇気も大切です。
肉離れなど長期化する故障にならないように、無理をしないようにしてください。