内側から出るものと外から受けるもの。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

今更ながら先週末に行われた全日本大学駅伝(録画)を見終わりました。当日はイベントを行っており、平日は仕事やらなんやらで一気に見ることが出来ず。1日1区間くらいの勢いで鈍行で進めました(笑)

 

結果的には青山学院大学が優勝をしたわけですが、出雲全日本大学選抜駅伝での完全優勝とは違い後半まで先行を許す展開でした。それでも最終区間に入った段階で後続に2分差をつけ、地力の違いを見せつけるような展開となりました。

これで今年度2冠達成。箱根駅伝で3冠を出来るかというところも注目となりました。

 

 

感じた違い

今回の全日本では、区間が大幅に変更されました。距離の短くなった前半区間では、スピードでは分がある東海大学がある程度作戦を立てていたのか、顔ぶれの通り先行することができました。「黄金世代」と称される選手たちが絶好調であれば、もっと差を拡げられた気もしますが、調子を見極めて選手起用をする(できる)チームとの違いも最終的な結果に影響したかもしれません。

 

それ以外でも、「走り方」という点で青学と他大学では大きく違った印象でした。もちろん走り方はランナーのタイプやコース、戦況等によって異なってきます。ただそれでも比較的多いのは、先頭を走るランナーは序盤抑えて中盤からペースアップするようにして、大崩れをせずしっかり走ることに主眼を置きます。対して追う方は、とにかく前を追う。ちょっと無理をしてでも行けるところまで追うという形が多くなっています。

 

 

しかし、青学の選手は少し違って見えました。

先頭に出る7区までの全ての選手に「追う意識」があったのは間違いないと思われますが、焦って詰めるというシーンがそれほどありませんでした。むしろ落ち着いて入ってじわじわと差を詰めて中盤以降に追い上げていくという走りに見えました。

一方、先行した後の最終8区では安全運転ではなく、むしろ前を追っているかのような攻める走り。後続との差や自らの体調、気温などの状況を見て、攻めることを選んだ可能性もあります。あるいはチーム内での競争意識がこの走りをさせたとも考えられます。

 

今は青学は相当選手層が厚くなっているようです。その中で選ばれたことで「自分の走りを出来れば大丈夫」という自信も自然と生まれてくるのかもしれません。その自信が焦らない走りを実現させます。

それだけでなく、その場に応じた走り方というのを自分で考えているように感じました。(本当は監督の指示かもしれませんが)

 

指示通り走るのと、自分の判断で走ることには少なからず違いが出てくると思われます。たとえば私たちでも経験があるかもしれませんが、ペースを気にしながら時計とにらめっこをして走るのと、体感に頼って走っているのでは同じペースだとしても疲労度や感じ方は変わってくるということがあります。

 

自らの状態も含めて、その場の状況を判断して動くというのを自発的に行えているのだとしたら、それもひとつの強さです。その判断を実現させる「個」の強さが伴っていることは無視できませんが、タイムラグがある指示による戦略と、すぐに動ける戦略。この違いもあるのかななどと感じました。

 

強いチームが勝つのは当然ですが、どこが勝つにしろ混戦になってくれた方が見ている側としては面白い(当事者はそれどころではないでしょうが)。箱根では「おっ??」と思わせるような展開になったらいいなと思っています。個人的には出身大学(当時の私は陸上に全く関係ないですが)の法政が躍動してくれるのを密かに期待。いやおおっぴらに期待。駆け抜けろ、オレンジエクスプレス!

 

 

ここから学ぶ

先にも触れましたが、体感で走る(内側から)のと時計に合わせる(外側から)のとでは大きく違いが出ます。後者の方は気持ちの面でも、身体的にも疲労度が速くなりやすいです。

もちろん目標を持って挑戦するのは凄いことですが、挑戦するための準備段階で「体感」で挑戦できる段階まで持って行っておくことが成功率に関係してくると思います。

 

またレースプランを立てた際に、それに固執してしまうと想定外の時に対応できず力を十分に発揮できません。大まかな作戦を作りつつある程度のゆとりをもっておく、あるいは考える時に「そんなこと起きないだろう」という細部にまで詰めて想定しておくくらいすると可能性を拡げられるでしょう。

ただ結果を見て楽しむだけでなく、何か取り入れるという目線で見てみてください。そして試してみましょう。