王者からも学ぶ。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

昨日行われたボクシングの世界戦。以前より認定団体が増えたことに伴いチャンピオンが増えていることもあり、同日同会場で2~3試合の世界戦が行われることも珍しくなくなってますね(商業的要素も大きいとは思いますが)。

 

大きなインパクトを残したのはモンスターの異名を持つ井上尚弥選手。過去15戦全勝で2階級制覇の実績も持つものの、バンタム級に階級を上げての初戦。相手は10年もの間無敗を続けてきたWBAバンタム級王者マクドネル選手。身長・リーチ共に一回り大きく王者としての実績も十分。

本来ならイギリスで王者が挑戦者の井上選手を待ち受けるという形が自然なのかもしれませんが、興行的要素は抜きにしてわざわざ敵地で行うことを差し引いても、倒すだけの価値のある選手とみなされているのでしょう。

 

どうなるか楽しみに見ていましたが、井上選手は圧倒的な強さでわずか1ラウンドTKOをおさめ、ライトフライ、スーパーフライ級に続いて3階級王者となりました。

 

それにしても強い。強いの一言。今まで名チャンピオンはたくさんいますが、ここまで圧倒的な力で倒し続けている選手は日本ではいなかったように思います。

 

ボクシングは最近減量などで注目されていますが、身体作りは過酷で当然ながら重要。それに加えて気持ちを作り上げていくことの大事さ。

彼自身スーパーフライ級の時に、同階級で最強王者とされたローマン・ゴンザレス選手(日本ではロマゴンと略されている)が敗戦を喫し「最強」への挑戦が潰えたときに多少モチベーションが落ちたようですが、目線を変えて階級も変えることで新しい目標を作り、そこに向かうことでさらに自分を高めようとしています。

 

そして試合後に「がらあきになっていた。気持ちとボクシングを一体化させていかないといつかやられる。そこは修正」と自分を冷静に振り返っていました。

確かに、今回はいつもに比べるとラッシュの時に少し強引に見える打ち回しが見られました。そこには公式行事に連日遅刻をしてきた相手陣営へのいら立ちもあったともいわれています。

 

結果だけ見ると誰もが納得できるような結果を出しても、そこから学ぼうとする姿勢。そこに慢心などはないのでしょう。気持ちを作り上げる術も持っていて、身体も作れて油断もない。年齢的にもまだまだ伸びしろがありそうで、本当に今後が楽しみです。

 

 

この秋にはWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)という賞金総額50億円(!)ものビッグトーナメントが開催されます。ボクシングに興味がない方に伝えるならば、階級別天下一武道会と言う感じでしょうか。

そこへ他団体の王者が出場予定の中、すでに優勝候補として名前が挙げられている井上選手。

もっと強い相手と試合をしたいというその気持ちを、頂点を争うこの場で爆発させて「The Monster」の異名にふさわしい戦いを期待したいところです。

 

 

こちらも期待

同じ会場で防衛戦に挑んでいた拳四朗選手も忘れてはいけません。扱いが小さすぎます…それだけ井上選手が偉大だということでもありますが。

 

WBC世界ライトフライ級王者である拳四朗選手が迎えたのは、自らがチャンピオンになったときの対戦相手である前王者ロペス選手。経験では劣る上、勝ったとはいえその時は僅差での判定勝利。

お互いに相手の特徴を肌で感じていることもあり、そう簡単な試合にはならないだろうと思っていましたが…

 

2ラウンド、強烈なボディー2発でダウンを奪いKO勝利。こちらも完勝と言う内容。

まだ実績・知名度共に井上選手には敵わないものの、もっと注目して良い選手の1人だと思います。

 

今回の試合に合わせて、てこずることの多いサウスポースタイルとの距離感を掴むため、フィリピンでの合宿を重ねてしっかりと準備をしてきたようです。

自らを鍛えることはもちろん、対策を練ることでその鍛え上げた力を十分に発揮できる状況を作るというのは、何をするにしても大事ですね。

 

 

私たちがトレーニングをするとき、特に自分の中で強度の高いメニューをこなした時には「トレーニングをした」という事実で満足しがちです。

でもそこで出来たこと、出来なかったことを振り返る。そしてそのトレーニングの内容をしっかりと発揮できるような準備や想定をする。こういったことはあなたにも実践してほしいことです。

 

見るだけでも楽しいですが、いろいろと感じ取れました。