JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。
他のランナーさんと一緒に走らせてもらっている時に、時に聞かれるのが・・・
「大会ってどういう風に走ればいいですか?」
フォームなどの話ではなく、レースの展開としての質問です。
はっきり言うと、正解はありません。
ただし目標達成の可能性を高めるためには、展開の向き不向きはあることを頭に入れておくべきです。
またそれぞれの性格も大きく関係してきます。
さらに厳密に言うと筋肉の質も影響しますが、筋肉に関しては個人レベルでは解析不能なので割愛いたします。
ザックリいうと、次の3パターンに分かれます。
- 前半突っ込んで、後半は落ちてくるポジティブスプリット。
- 同じように走り続けるイーブンペース。
- 前半抑えて、後半上げていくネガティブスプリット。
①ポジティブスプリットは、後半下げるというよりは「下がってきてしまう」という展開。
前半の突っ込み具合によっては、失敗レースとなってしまう可能性も含んでますが、ここぞというときの記録狙いの時にはこれくらいの気持ちで挑む必要があると思います。
ある程度の走力があって、自分の感覚で安定したペースを刻めるランナーであるほうが成功率は高いと考えています。
うまく調節が出来れば、結果的に後半も粘って大きな落ち込みのないレースが出来るでしょう。
フルマラソンにおけるイメージでは15~20km辺りがピークになる感じでしょうか。
ちなみに、私が6月に走ったサロマ湖ウルトラマラソンの時は、展開としてこのような走りになっているのかなと感じます。
②次にイーブンペース。イーブンといっても、最後まで一定で走り続けることは簡単ではありません。
なるべく一定で、終盤で緩やかに下降線をたどるというイメージでしょうか。
安定して走れる一方で、設定ペースを間違ってしまうと動きが固まって変化に対応が出来なくなる可能性もあります。
大崩れはしにくいですが、大当たりも少ない走りとなります。
リズムを安定して刻めるタイプのランナーには向いていると思います。
③最後にネガティブスプリット。これが個人的には一番おすすめの走り方になります。
序盤落ち着いて入って、中盤からエンジンをかけてコース全体の8割~9割をピークに持っていくイメージ。
この走り方が出来る展開になっていれば、終盤は否応なしに粘れると思います。
これは以前私が出場したハーフマラソンのペース推移です。
ただし序盤は抜かれる展開になってしまうことが多いので、そこで焦らないことが非常に重要になってきます。
「行きたければ先に行け。あとで全部抜き返すから」
くらいのちょっと上から目線で見るくらいの気持ちの余裕を持てるかがポイントです。後半ごぼう抜きに出来るのは非常に気持ちも良いですし、ますます気持ちも乗ってくるので楽しく走ることが出来ます。
ただしスパートのポイントとその上げ幅によっては、力を出し切る前にゴールにたどり着いてしまうこともあるでしょう。
しかし、その時は「まだいけたな」という感情になるはずです。
まだできる、というのが次に向けてのモチベーションにもなり得ます。
楽しめる意味でも一番おすすめの走り方です。
いずれのパターンでも、「周りのランナーに惑わされない」ということが非常に重要です。
序盤にあなたが抜かれても、あなたのペースが落ちているわけではないかもしれません。
ハーフマラソン以上の距離になると顕著になりますが、ある程度一定のペースで走っていると、周囲にいるランナーも同じ顔ぶれになってきます。
同じ顔ぶれだから同じペースとは限りません。
そのような時に、いかに冷静に自分のリズムを保てるかというのが後半楽に走るための重要なポイントになります。
また自分のリズムがどれくらいなのか、どこに設定すればオーバーペースなのか、イーブンになるのかという現状把握をしっかりしておくことも大事です。
その作業の精度を上げていくのが日々の練習なのです。
大会で気持ちよく走れるように、現状を掴んで大会のレースイメージを膨らましていってくださいね。
今日は一般的な話でしたが、個人的に走りを見たり、実際にお話をすることが出来れば「あなたに合っている」という作戦を伝授することも可能です。
関心がある方は、コメント、またはお問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。