「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。
年始から今までスポーツに興味がなかった方でも目にしたかもしれない「厚底シューズ」に関する論争。年始の風物詩箱根駅伝で圧倒的な存在感と記録というインパクトを残したことから、いろんな場面で扱われていました(参考記事:もはや無関係と言えない)。
そのシューズによってかどうかは確実には言えませんが、影響があるのではという意見が出ることは想像ができます。実際に世界陸連が規則によって制限をかけるかもしれないという報道が一部から出ています(まだ確定でもなく推測の段階ではある)。
このシューズが人の能力を超えて助力になっているのか。その性能や公平性という面で議論になっているようです。
カーボンプレートは性質等に違いはあれど他のシューズにも使われています。NIKE製のヴェイパーフライがもし駄目だとすると、何をもって駄目なのか。他のも一斉に規制するのか。そのあたりの細かい判断基準を明確にするべきです。そうしないと次の開発に生かすこともできない。
このシューズは優れたツールかもしれませんが、道具によってどこまで影響するのかというのも疑問。
確かに好記録は出ていますし、これまでの記録更新の経過を見ても不自然なほど勢いよく更新されていると言えるかもしれません。でもそれはタイミングかもしれない。
ヴェイパーフライに関しては形状が今までのものとは違います。その形状を使いこなすためには、当然ながら経験と技術が必要です。たとえば野球のイチローモデルのバットやグローブを使ってもいきなり上達するかというと違いますよね。その特性を把握して、技術を磨き使いこなせたときに初めてパフォーマンスとして表に出てきます。
シューズにも近いことが言えるはずです。この形状に初めて足を入れると違和感を覚えるはず(少なくとも私はそうでした)。それを履きこなすだけの土台の筋力や足の運びなどの技術などがそろって初めて記録に繋がります。
これは厚底に限らず、それぞれのアスリートが使っているツールには共通のことではないでしょうか。
ただ身に着けるだけで速くなる、強くなる、遠くに飛ばせるというツールであればそれは公平ではないですが、少なくともそれには該当しないと思います。
「ツールを使いこなし選手権」のようになってくるとアスリートの純粋な身体能力ではないところになるかもしれませんが、それも技術といえばそうでしょう。
いずれにせよ、走るのは選手。競技をするのは選手。ツールなどの変化にどれだけ対応できるかも選手の能力。
ツールの開発もどんどん進化をします。その過程で理解しがたいものが出るのも必然。水泳水着のレーザーレーサー、スピードスケートのスラップスケートなどがそうであったように、急激な変化は何かの拍子に起こるもの。一時は規制しても、それを乗り越えてくるのがアスリートの凄さであり、開発者の進歩でもあります。
今年はオリンピックもあります。そこに使う予定だったものが急に使えなくなるというのが果たして「公平性」という意味で良いのでしょうか。
とにもかくにも早くしないと「使いこなす」までの時間が減っていくわけです。
もし公平性を求めるなら、そして規制をするのであれば、今後オリンピックが契約したメーカーのツールを使用するよう限定すれば可能です。(そうなるといろんな良からぬお金が動いていきそうですが…)
異なるメーカーであれば、特色が違うことは当然。その違いを「不公平」と言ってしまうのであれば、いっそ統一するのも方法かもしれないと思います。
同じ国の選手でさえ契約や環境によって使えるツールが違うかもしれません。さらには国が違えば経済状況も違いますから、使えるツールや技術にも差があるのは当然。それさえ不公平と言えばそうなるはず。
何をもって不公平なのか。公平性とは何なのか。
問題にするのであれば、その答えを明確にしなければ誰も納得できないのではないでしょうか。
この問題、どう考えますか?
この件、「ある程度以上の厚さの靴底を持ったシューズ」が規制対象となるという噂も見た気がします。だとすると、ヴェイパー以外のいわゆる「足に優しい」系のシューズも同様に規制されてしまうかもしれず…。
また、規制されるのだとして、誰がどの大会に出ると対象となるのか。トップレベルの選手だけなのか?大会はIAAFのラベルがついたレースか、市民マラソンも同様なのか?
疑問は尽きませんね。早く詳細を明らかにしてほしいものです。
コメントありがとうございます。
規制の条件や対象も納得できるようにしないといけませんが、納得できる答えは期待できないと思います。
そもそも規制は何のためなんでしょうか。
ランナーに害がありつつ記録を優先するようなシューズなら問題でしょうけど、脚も守って記録にもつながる。
どこが悪いのでしょう?
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