怪我で強くなり、怪我でやられた。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

大相撲の元関脇安美錦が現役引退を表明したとのこと。

ビックリしました。いつかは来る、それは遠くない先に…とは思っていましたが今場所とは思っていなかったです。

私は相撲が小学生くらいに友人の影響で興味を持ち、それ以来好きになりました。 自宅にいたら見るし、リアルタイムで見られなくても結果の確認はします。 先日も自宅にいられたので、トレーニングをしながら相撲を見ておりました(そして筋肉痛w)。

 

 

安美錦関は現役最年長の関取。関取在位117場所は歴代1位タイだそうです。
すでに40歳となっていますが、土俵に立つ際には古傷の膝には厚いテーピングが巻かれているなど見るからに満身創痍。実際にアキレス腱断裂、半月板や靭帯などの断裂や損傷など大怪我を何度も乗り越えて土俵に戻ってきていました。

 

正直若い頃の安美錦はあまり印象に残っていませんでしたが、最後まで諦めず土俵際でも諦めずにしぶとく仕掛けるなど、思わず「上手い」と口に出してしまうような取り口に段々と好きになっていきました。
インタビューは力士にしては口数も多く、それだけでなく独特の語り口でユーモアもあり楽しみの1つでした。(安美錦自身が休場している時でさえ、同部屋の力士が安美錦との会話をインタビューで語るほどネタになる)

 

 

もちろん強いのですが、やはり上手さが光る1人だったと思います。それだけに大怪我がもったいないと思ってしまいます。実際に解説者などは「右ひざの怪我がなければ大関になっていた」と話しているのを何度も耳にしました。私もそう思っていました。
でも、本人に言わせると「怪我があったからここまでやれた。怪我をしてから上に上がれた」んだそうです。

 

怪我をしたことで身体に敏感になり治療を通じて身体に詳しくなる。そしてその知識をもとに、動きを研究してそれを鍛え上げ、怪我をした身体でも戦える術を磨いていったのです。

 

考え方、姿勢が凄い。
全てが繋がって今があるという考え方は本当に見倣いたい。人はつい「あの時こうしてれば…」と考えてしまいがち。そこに後悔が生まれる。後悔をしない全力でぶつかる姿勢は是非身に着けたい。

スポーツマンとしてはもちろん、人として本当に素晴らしいと思います。

 

 

これからは指導者になる方向のようです。

弟弟子にあたる照強に対して「僕が言うことは難しすぎて理解できていないと思う」と話しているけれど、それだけ熱を持って声をかけていたということなんじゃないかと思う。

それに対して照強は「教わったことは人生の財産」。もしかしたら十分な理解は出来ていないかもしれないけれど、それでも確実に伝わっている。

 

これからも関わって後進に対して「人生の財産」を少しでも与えてほしいと思う。

安美錦関くらい味のある力士がまた育ってきたらきっと土俵も盛り上がるはず。この笑顔がもう見られなくなるのは残念だけど。

長い間、本当にお疲れさまでした。