接地どっち?

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

ランニングの情報を仕入れていこうとすると、無数の情報があります。
研究が進むにつれて、過去の常識が非常識になっていったり、全く違う方法が出現したり。

 

あるところでは絶賛されていた方法が、別の所では全否定・・・なんてこともあるかもしれません。

もはや情報の渦にのみこまれて、何が正しいのかわからなくなってきます。

 

 

今回はそのような情報のひとつである「接地」についてです。

 

つま先側で地面につき踵をほとんどつかないフォアフット、真ん中あたりで着地するミドルフット、そして踵側で着地をするヒールストライク。

ざっくりと分けるとこの3種類となるでしょう。

 

ケニアやエチオピアと言った国が中長距離を席巻している最近では、彼らの多くが行うフォアフットを取り入れていこうとする人もいます。
昔世界で活躍した男子マラソンの中山選手などはこの走り方だと思われます。

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接地時間が短く、筋肉への衝撃が小さいという研究結果が出ているようです。

 

これだけ聞くと、「よし!自分もフォアフットになろう!」と思う方もいらっしゃると思います。
ただ、忘れてはならないのは恐らく彼らは「なろう」としてなった走り方ではないという点です。
※中山さんは意識的に変えていったそうです。

 

 

次にミドルフット。
他の2つに比べるとあまり聞かない名称ではあります。簡単に言うと足の中心で着地しようとする走り方です。

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お尻やハムストリングスといった大きな筋肉で衝撃を受けつつ、動力源とすることが出来るため安定感のある走りを体現することが出来ます。

 

 

最後にヒールストライク。

日本で今までに主流だった「踵から着いてつま先で押し出す」ような走り方です。
走るときに「踵から着け!」ということを言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

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これに関して、一つ思うのは上に挙げたような分類する名称がついてしまったため、本来の意図が外れてしまっているのではないかということです。

 

「踵接地」と聞いて、下の画像のようにかかとをぶつけるように着こうとしているのではないかと。

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ここまでやるのは極端ではありますが、意識の上でこのような接地だとしたらそれは本来の意図とは違っているでしょう。

 

地面からの反発を上手く利用して走るというのがこの走り方の特徴です。
それが上達すればいいのですが、意識が強すぎて極端に前に足を出してしまうと地面を踵で叩きつけるような形になり、推進力を自ら殺してしまいます。

当然ながら衝撃も大きくなり、それを受け止める足首、膝関節、股関節などにダメージが蓄積して故障や痛みを抱えてしまう恐れがあります。

 

 

代表的なものを挙げましたが、私はどれが良くてどれがダメということはないと思っています。

 

ただし、それぞれの接地の中でも極端になってしまうと本来の目的から外れたり、無理が生じたりということもあり得ます。
意識のしすぎは禁物です。

 

 

接地は確かにランニングを考える時に無視できないポイントではありますが、そこから変えていくのは無理が生じます。

なぜなら接地は、日常からの生活習慣に基づいた身体の使い方や骨格などが影響して現れた末端の結果にすぎないからです。

 

重心の位置なども影響するでしょう。

また走るスピードによってフォームも少なからず変わります。
そういった要素を考えることなく、見た目から入ってしまうとしたら必ずどこかに「ひずみ」が出てしまうでしょう。

細部から意識してしまうと、軸となる重要なポイントにも悪影響を及ぼす恐れもあります。

 

そこにある木の幹をより太く元気に育てようとするときに、葉っぱから変えようとしますか?
虫などがついている場合を除いて、木の幹そのものや根など軸になっているものに目を向けるはずです。

身体も同じなのです。

 

 

ただ身体の使い方などが上達してきたら接地も変わってきたということになれば、それは受け入れるべき結果だと思います。

仮に変わらなくても、それは気にすることではないでしょう。

 

「今のあなたに合った」接地がそれだからです。

 

 

 

身体の使い方の上達には、自分の身体をより細かく把握し制御できるようになる必要があります。
あなたは思い通りに身体を操れますか?

 

今までに十分に使っていない部位や眠っている部位もあるかもしれません。

身体の使い方を体験するイベントも現在内容を精査しております。会場などが手配出来次第、また告知いたします。

 

 

もし現時点で、身体についての疑問などをお持ちの方がいらっしゃれば、コメント、メッセージ、メール等にてご連絡いただければ、プログラムの中に組み込む(かも?)と思います。

質問もイベントの一部。

皆が楽しめるイベントになればと思っていますので、ご協力をよろしくお願いいたします。