「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。
日本短距離界の盛り上がりがさらに強くなりそうな記録が生まれました。陸上の全米大学選手権の100m決勝でサニブラウン選手が9秒97の日本新記録!(レースでの順位は3位)
追い風参考記録ながら準決勝でも9秒96。1本だけ速いことだけでも凄いのですが、何本も高いレベルで揃えられるということが力の証明と言えるでしょう。
しかも同日行われた200mでも決勝で20秒08で3位。さらには400mリレーでもチームの一員として優勝に貢献(タイムは今季最高の37秒97)。これだけレースが多い中で、全ての種目で結果を残す(本人は優勝したかったのだろうが)のは実力がないとできないこと。しかも短距離大国の1つであるアメリカが舞台。
考えられない!
サニブラウン選手は、2017年の世界陸上で200mの決勝に残るなど鮮烈な印象を残しています。(参考記事:一瞬を作る土台)
その経験に、高い質のトレーニング環境と設備、身体と心が伴ってきて確実な力に繋がっているのでしょう。さらに今後に飛躍が期待できるのではないかと勝手に思っています。
「正直タイムはあまり意識していない」
サニブラウン選手の基本姿勢です。タイムが記録される種目においてそれを全く意識するなというのは難しいことと思いますが、彼が最も意識していることは「どれだけ正確な動きを体現できるか」ということ。
明らかに数年前とはフォームが変わってきて、走っている最中の「ブレ」が小さくなっています。それでもにじみ出る荒々しい印象の走りは、彼の特徴でもあるかもしれません。これを良しとするか、矯正してでも一般的な理想に近づければ速くなるのか…こればっかりはわかりませんが。
どちらにせよ、まだ伸びしろがありそう。
5月の大会では屋内60mで日本記録タイの6秒54を記録。そして今回、100mで日本記録の9秒97。さらには同日の200mでも日本歴代2位の20秒08。
今までやってきたことにさらに自信を深めているはず。その自信がさらなる記録を…というほど単純にはいかないとは思いますが、今後がますます楽しみ。
確実に崩された壁
以前は日本の選手にとって10秒の壁を越えるどころか近づくことさえほとんど出来なかった100m。
それが2017年に桐生選手が初めて公認記録で超えて9秒98を記録してから、確かに層が厚くなってきました。(参考記事:壁の向こう側へつづけ。)
私が2年前に書いている記事ですが、確実にその「壁」を越える流れが出来てきています。追い風参考記録(※レース時追い風2m以上の場合)ながら多田選手や桐生選手、ケンブリッジ選手も9秒台を記録していたり、 10秒0台の選手も山縣選手、小池選手、飯塚選手らもいます。
これだけ時期が揃って層が厚くなってきていることは、身近で競い合う選手が超えたことで「俺にも出来る」という10秒の壁に対するメンタルブロックがなくなったことが少なからず影響をしていると考えています。(もちろんそれ以外の要素も大きくあるとは思いますが)
まさに切磋琢磨。
今年の世界選手権、そして来年の東京オリンピックに向けてさらなる選手も出てきたらもっと面白くなるはず。期待。
高いレベルで競い合うことが記録向上だけでなく、相乗効果として競技を盛り上げ競技人口も増えて…いったらいいなと思います。
そういう意味でも、ミーハー的にではなく落ち着いてマスコミにはきちんと「スポーツ」として報道してほしいなと強く願います。
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