「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。
いろんなことが起こり経験と記憶が入り混じる濃密な移動をした前日から一夜明け、いざ当日(参考記事:長野という地へ~前日編~)。
睡眠時間こそ5時間未満にはなってしまったものの、寝起きの感覚や眠りの質は悪くなかった。
予定通りの時間には動き出し、レース当日のルーティン通りにシャワーを浴び、朝食。
着替えを済ませて荷物をまとめて集合場所へ。ホテルのエレベーターが渋滞していて危うく遅れそうになったこと以外は超順調。
過去にここまでスムーズに準備ができたことはほとんどないというくらい自分史上最高クラスの流れ。(普段の流れが悪すぎるともいう(笑))
招待選手の宿泊するホテルに向かうと見たことある方がたくさん!テンション上がるが、今回はどちらかというと自分もそちら側。ぐっと落ち着き払った演技(笑)
バスにて会場入りで移動もスムーズ。
そしてRUN de Markメンバーだけで集合写真。

気温も長野の朝なのに寒くない。
逆に日中の気温上昇が怖いと感じたので、携行する経口補水液の量も少し増やした。
招集まで1時間ほどあったので、自分の体と心を準備させつつ、長野に縁のあるメンバーと連絡とろうとしたけどランナーが密集している影響か電波が悪すぎて全然通信できず…
それでも会場周辺をアップがてら歩いてたらいろんな人と出会えた。
引き寄せられるように。
10年ぶりくらいの方もたくさんなのに、人に恵まれているなぁと改めて感じた。

今回のペーサーが着用する風船。長さ調整が結構テクニカル(笑)
招集時間になった。
3時間15分のメンバーと共に。

なぜ私がここにいるのでしょう?というくらいすごい実績をお持ちの顔ぶれ。
でも同じ担当になった以上は、それはある意味関係なし。
むしろペーサーとしてのこだわりや経験は十分あると自負をしていたので、物怖じせず詳細の調整でも意見を伝えた。
3時間15分は4分37秒/km(5km毎に23分5秒)以内で走る必要がある。
事前の打ち合わせを軸にしつつ、基本はイーブンペースで行くが、スタートロスを25kmくらいまでには回収をするため4分33~35秒/kmで走り、余裕をもって後半戦に備えるプラン。
フォーメーションも決めた。あとは走るだけじゃ。
レーススタート

案外スタートゲートが近い。おそらく1分かからないかな?などと言う感じ。(昨年実績では1分20秒ほどと聞いていた)。
やはり思ったよりスムーズに流れて手元で52秒のロス。(※公式では53秒。※以降は公式タイムでの記載)
最初の1kmは渋滞をしていたため思い通りに走れず4分50秒/kmほど。でもこれも想定内。
ここまでで生まれたおよそ65秒のロスを25kmまでに回収するためには1km毎に2~3秒ずつ出来れば問題ない。予定していたプランで十分対応できる。
ただ思った以上にランナーに完全包囲された(笑)
さすがは長野マラソン、3時間15分の集団も非常に多い。囲まれたことでちょっとペースがもたつく感じはあったが、並んで走るペーサー同士で現状確認と今後のプランを再度確認することで慌てることなく走行ができた。
5km通過は24分8秒(Split23分15秒。ロス63秒)。
路面の轍が目立つので一瞬バランスを崩したが「あぁ長野ってこうだったな」などと感じるきっかけにもなった。

友人が撮ってくれていた。
同じペース担当の100kmウルトラマラソン世界王者の隣を走る。光栄すぎる。いや、舞い上がっている場合じゃない(笑)
前半は結構起伏もあるし路面も石畳のところがあったりと少し気を遣う箇所が多い。
エイド周辺ではより大きな声掛けでランナーを誘導しつつ、安全確保のために進行方向や動きの変化を伝えるハンドサインも使いながら。
こうしたちょっとした合図だけでもお互いに使えば、ぶつかったりするリスクは減らすことはできるのです。譲り合いの精神大事。
周りのランナーも真似してくれたので、正直集団の大きさに対してそこまでの混乱はなかったと思う。
嬉しかったのは、「ペーサーはエイド取れないでしょう」と周辺にいたランナーがわざわざとってくれたこと。こういう気持ちってとてもありがたい。
中盤からの調整
流れも安定して自分の体も温まり、気持ちも乗ってきた10km地点。
集団の前2名と後方2名と予定通りに分散できて、私は前の担当。
47分3秒。(Split22分55秒。ロス53秒)
ん?
手元のGPSと距離表示がズレることも想定していたけど、46分55秒くらいでは通過するつもりだった。やや回収が遅れている。集団の後ろはもっとか?
「気持ち上げた方が良さそうです」
そうバディに提案して、ほんのちょっと5km毎に現状より5~7秒(1km辺り1~2秒)の感覚でペースを上げる。手元計測ではほぼ想定通りに調整もできた。
バディもとんでもなく正確にそれを刻んでくれる。超やりやすい!
この微調整が出来ない方って結構多いのです。
実際11km以降はほぼその想定通りのLapを刻めるようになった。この辺りは比較的走りやすいところなので、周りのランナーにとってもそこまで急な変化ではなく負荷にはならないはず。
周辺ランナーも含めて完全に流れに乗ったので、もはや何も考えなくてもこのペースを刻めるレベルにおさまった。
そして15kmは1時間9分48秒(Split22分45秒。ロス33秒)。
修正もできてほぼ完ぺきな順調なペース。
ただひとつ誤算。自分の脚に違和感が出始めたのだ。
序盤の轍でバランスを崩した際に、違和感を覚えたふくらはぎ。
その違和感が少し痛みになってきていた。
ペースメイクには問題がなくそのまま走行を続けるものの、確実に脚を気にしている自分に気づく。
こうしてベクトルが内側(自分向き)になると、当然外側(参加ランナー)への意識が薄くなる。
これじゃいけない。
もう一度気合いを入れなおして、より意識的に周囲を見るように。ペースへの意識も1段高めた。
ただそうすることで走行の余裕度は下がってしまうので、今振り返ると声掛けの頻度なども下がっていたと思う。反省。
20km通過。
1時間32分36秒(Split22分48秒。ロス16秒)。
このままでいけば想定通りに25kmくらいでほぼ回収できる。
「順調に来てます!このまま刻んでいきましょう!」
この辺りに来ると多少集団も小さくなっていたので個別に声をかけることもしやすくなった。
「ベストが3時間18分なんですが、このペースでいけますか?」と話しかけてくれた方をはじめ、現状をある程度共有できたかと思う。
中間点の通過が1時間37分31秒’。2倍すると3時間15分2秒。いい感じである。
ただ脚が全然いい感じではない。
確実に痛みとして認識し始めており、走りにも影響が出始める。かなり意識しないとペースが乱れそうになる。
こんなに苦しくないのに。
どうしよう。このままいくか?やめるか?
長野まで来ておいてこんな半端でいいのか?
やめたら選んでくれた方にどんな顔すればいいのだろう?
参加ランナーを最後まで応援したい。
いろんなことが頭を巡りましたが、結局それって自分目線。
ペースの安定しないペーサーは存在意義がない。最終的な帳尻合わせでタイム通りにゴールしたとしても私にとってはそれは失敗。
自分のプライドとか気持ちなんかよりも参加者の安全走行とタイムの達成のために何がベストか。
「やめること」。
そう決めた。
ただ無責任にすぐにやめるのではなく、離脱するときに混乱を起こさず今できることを全部やりつくそうと。
まず集団の前方でバディを組んでいた方には自分の現状と判断を伝達。
そして、集団を構成していたランナーに今のペースの余裕度をお伝えしつつ、エールを送る。
士気を上げられるだけ上げる。(でもペースは上げない)
後方担当の2名はたぶん10秒くらい後方。
じわじわと位置を下げながら、前担当の現状ペースとハーフの通過がほぼイーブンに収まっていることを伝えた。
そして辞めるということも。
後方のペーサーの風船はすでに飛んでいってついていなかったので「これを私と思って連れて行ってください」と風船が残っている私の帽子を託しました。(迷惑だったかな)
25km通過が1時間55分36秒(Split23分0秒)。
ここで私の大会は終わった。

悔しい。
情けない。
申し訳ない。
消えてしまいたい。
そんな気持ちに押しつぶされそうでした。
でもそんな自分のことよりも気になったのは、どれだけ集団のランナーが最後まで粘ってくれるか。
出来ることならゴール地点に回り込んで迎え入れたい。

けれど叶うはずもなく、収容バスにて会場に戻ったのは乗り込んでから約2時間後。

ひとまず途中離脱した結果の連絡だけはしていましたが「そのための4人体制なので気にしないで」と言ってくださったことが救い。個人的に気にしない要素は1%もないけども。
ペーサーとして一緒に走っていたうちの2名は3時間14分くらいでゴールできたとのこと。
それは良かった。あとの1名は途中で体調が悪くなり30kmまで担当されたとのこと。それでも4人それぞれがこの日出来ることをやったと思う。
一人でも多く目標タイムをクリアできていることをただ願うのみ。
改めてペーサーは難しい。特に今回のようにいろんな想定外のことが起きるとなおさら。
でもその難しさの中でも求められたものを120%やり遂げることに意味があると思うし、それこそが私の目指すペーサー像。
次までには多少のアクシデントは跳ね返す強さと逞しさをもって戻ってこれたらと思う。
その機会をいただくためにも日々精進するのみ。
この素晴らしい場に立たせてくださった関係の皆様に、心から感謝です。
Garmin Connectのデータで振り返ると、勾配調整後のペースがほぼ4分30~33秒に収まっていた。
これは坂でも出力を大きく変えていない証拠。これが長距離を安定して走る上では非常に大きな要素となります。ここは胸を張れる。
出来たことはさらに磨き、出来なかったことを克服する。さらに質の高いペーサーを目指します。
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