JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。
先日の記事で給水エイドにおけるコップのオススメの取り方を紹介しました。
では量に関してはどうでしょうか。
大会やエイドの場所によってかなり差はありますが、コップになみなみと注がれている時もあれば、コップ半分程度しか入ってない時もあります。
この量の違いは、サービス精神かコストダウンの意味合いなのか色々な要素もあるのでしょうが、給水効率という面から見ても大きな意味の違いが出てきます。
走っていると、当然ながら体温は上がりそれを下げるために少なからず発汗をします。
そして発汗により失った水分を補給するメッセージを体に与えるために、脳はのどの渇きを感じさせて飲む動作を促します。
のどの渇きを感じた時点で体重に対して1~2%の水分がすでに失われていると言われています。
そして2%を超えてくると、運動パフォーマンスの明らかな低下がみられると共に、体調不良や最悪の場合は意識を失うということさえ出てきます。
ではたくさん飲めばいいのでしょうか?
答えはNOです。
運動後や入浴後など、「のどが渇いた」といってペットボトルでがぶ飲みしたくなる時はありますよね。
正直私もそうしたい時はあります。
そうして身体に入った水分はのどを潤してくれるように感じますが、実はその大半が吸収されにくい状態になるのです。
たとえば手軽に自販機で買えるサイズは500mlが多いですが、あれを1本効果的に吸収するためにかけるべき時間はどれくらいだと思いますか?
個人差はありますが、平均すると1時間に500mlほどなのです。
つまり均等に割ると12分で100ml。
ランニングの大会のエイドで使われている一般的なサイズの紙コップ(205ml)がこちらです。
このコップの半分の量を腸が吸収するのに12分もかかるのです。
個人的にはエイドのドリンクがコップ半分程度の大会には、ランニング実践者がきちんと指示をしているんじゃないかと感じます。
実際にはこれだけで十分なのです。
ちなみに一杯なみなみだとすると24分。
※撮影後美味しくいただきました。
さすがにここまで入っていることはありませんが、エイドに水とスポーツドリンクの2種類が置いてある場合に、それぞれ取って両方飲み干す人を目にすることも少なくありません。
その場合はすでに200ml以上は飲んでしまっているわけです。
では、すぐに体に吸収されるのが100mlだと仮定して、それ以上飲んだ場合はどうなるのでしょうか。
水分を主に吸収する腸に流れるスピードは決まっているので、胃の中で消化されることなくたまったままです。
「たぷたぷ」言ってる状態です。一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
激しい運動をしている時はただでさえ内臓の機能が低下する傾向にあります。
その時にそのような負荷をさらにかけるのは、走る動作を続けるためにプラスなのかと考えると答えは明白です。
なみなみと注がれている場合は、私の場合もったいないですが口を付ける前に少し捨てています。
※ただし周りのランナーにかからないように注意してください!
そうすることで飲みやすくなりますし、余分に飲み過ぎることを回避することが出来ます。
中には「それでは間に合わない!」という方もいらっしゃると思います。
確かにその通りです。
そもそもエイドで「飲みたい!」と渇きを感じている時点で実は後手に回っているのです。
理想のタイミングはのどの渇きを感じる前です。
「まだ早いかな」と思うときも、口に含む程度で構わないので水分を入れるようにしましょう。
また数日前から体内の水分を補給していく方法もあります。
それを「ウォーターローディング」と言います。
カーボローディングという言葉を聞いたことがありませんか?
これはご飯類などの炭水化物の量を調整していく方法なのですが、水分に関しても同様に調整することが可能なのです。
このような手段を講じることで、本格的な身体の渇きを避けることが出来る可能性が高くなります。
寒くなってきたから水分の摂取量が減ってくると思いますが、この時期でも水分が必要なのは同じです。
汗を意識することが夏場より減るこの時期だからこそ油断せずしっかりと給水を心がけましょう。
ポイントは、早めにこまめに、です。
明日はスポーツドリンクの濃さに関して書いていきます。
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