言葉は罠。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

 

日本人の気質のせいでしょうか。

ある表現に対して、「文字通り」受け止めすぎる傾向があるように思います。真面目なのは素晴らしいことですが、良くも悪くも真面目すぎるのです。

たとえば糖質カットという言葉を聞けば、糖質を「完全に」カットにして無くそうとしてしまったり。ランニングでフォアフット着地と聞けば、とにかくつま先だけの着地なんだと思ってしまったり。骨盤を前傾した方がいいと言うと終始前傾をしようとしたり。

 

言葉の表現にこだわって極端に捉えてしまうと、本来のものとは変わってしまうこともあります。「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

これらは一例ですが、その表現の本来の意味や目的を知ること、そして順を追って行うことが重要になってきます。

 

どういう意図を持っているのか

上に挙げた例について、それぞれ簡単に触れます。

まず糖質に関して。ダイエットの方法の1つとして糖質カットが謳われています。実際そういった商品も増えていますよね。個人的には、糖質をカットしたパスタ製品を健康な人が食べることは謎でしかありませんが…

 

糖質を主に含むものは「主食」と呼ばれるお米や麺類、パンなどが中心ですから制限すれば自ずと絶対的な食事量が減ります。そりゃ体重も短期間で減りますよね。だからこそ「○日で○kgやせた!」とかいう結果は出るかもしれません。

でも、糖質は運動時のエネルギー源。極端な制限はエネルギーの枯渇を呼び、トレーニング効果の低下、集中力や持久力への影響のリスクもあります。そんな状態ですから無理に身体を動かすことになります。当然怪我のリスクを高め疲労にも繋がっていきます。

 

糖質が燃料となって脂質の燃焼に繋がるサイクルもあるので、かえって代謝を落とす危険性もあります。体重の一時的な変化にとらわれてしまうと、リバウンドしやすい身体を自ら作っているだけかもしれません。


ただ身体の状態によっては、適度に行うことでより良い効果を出せることも事実です。そもそもやる必要があるのか、やるとしたらどの程度、どうやってやるのかは慎重に検討する必要があるでしょう。

 

 

次にフォアフット着地。
ヒールストライク(踵着地)の対義語とされていますが、これも誤解なのか極端に捉えているのかちょっと違いがあるようです。

つま先を使いますが、踵を使わないわけではないのです。端的に言うとつま先(というか拇指球あたり)を効果的に使って推進力を得る走り方です。踵も接地する局面は出ますし、着地の瞬間は中足部辺りになるのが自然な動き。
これを「つま先つま先!」と思って前足部ばかり使うとアキレス腱やふくらはぎに過緊張を引き起こし、違和感や痛みに繋がります。

シューズに慣れている方が突然走り方とシューズを変えると、使う筋力が変わってきます。今まで身体を動かしていなかった人が、突然ベンチプレスを60㎏あげられるかというと無理ですよね。
走り方だけ変えるというのは、それくらい劇的に変わること。より良い方向を把握した上で、少しずつ行っていくことが近道です。

 

ちなみにヒールストライクも踵「の方」を使って着地をするというだけで、踵で地面をたたくわけではありません。

骨盤を前傾させると推進力になりやすいのは事実であると同時に間違いです。
たとえば立ったまま骨盤を前傾させて脚を挙げようとしてみてください。次にまっすぐに骨盤を立てたまま(あるいは後傾させて)挙げようとするとどうでしょうか。

きっと後者の方が楽に動かせたのではないでしょうか。

 

走る際には、脚を挙げる動作が入ってきます。その瞬間には前傾が強いままだとスムーズに動かずストライドに支障が出てきます。

それでも地面に力を加える際に前傾していると、身体の下から後方に向かってエネルギーが生まれやすくなり推進力になるのです。

ですから局面によって、ローリングするような滑らかな動きを繰り返せる状態が理想と言えるでしょう。

 

 

このように、全部が間違いではないのですが、極端に受け取ってしまったりどういうことか十分に把握できていないとデメリットの方が大きくなることはあります。
いろんな情報があるからこそ、整理をして自分に必要なものはどれか。そしてどのように、どれくらい取り入れれば今の自分に合っているのか。

しっかりと吟味して、未来のあなたの身体を充実させてあげてください。

 

 

もしその時、どのように・どれくらいがわからないという場合は、専門家に尋ねることをオススメします。
私の方でも可能な限り力になります。お気軽にご相談ください。