快挙から感じる。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

全米オープンにおいて大坂なおみ選手が日本人選手でグランドスラムの初制覇を達成しました。今まで4大大会では3回戦までしか進んだことがなかった彼女が、その壁を越え一気に頂点まで駆け上がりました。

しかも、初の優勝をかけて戦う決勝の相手は憧れだと公言していたセリーナ・ウィリアムズ選手。グランドスラムでシングルスだけでも23回優勝をしているトップ選手。しかも出産を経て復帰後初の優勝をかけて、アメリカで行われる試合。大坂選手からすると完全なアウェーが予想できる状況。

 

まさにドラマのような展開で、平常心になることさえ難しかったと思います。

 

それでも試合後に、「コートに立ったら違う人間になった気分だった。セリーナのファンではない。テニス選手と対戦するテニス選手になっただけ」

 

そう言い切れるほどに、自身のメンタルを見事にコントロールをしていました。

以前は気分にムラがあると言われていて、試合を見ていると集中できているときとそうでない時が見ているレベルでも感じられるような展開もありましたが、この日、気持ちを乱したのはウィリアムズ選手の方でした。

スポーツ全般そうであってほしいところではありますが、テニスは選手、観客に特にマナーがある前提で成り立っています。そういう意味ではどういう経緯であれ、ブーイングや過度なアピール(抗議)はちょっと残念に感じました。

 

 

大坂選手はコーチを変え、新たな環境の下で違うアプローチでトレーニングを進めていました。どちらかというと「完璧主義者」の思考のため、ひとつ納得が出来ないとそれを引きずってしまう傾向があったそうです。

しかし、ゲーム感覚でのトレーニングやメンタルのコントロールを繰り返すことで少しずつ変わっていけたのでしょう。

 

これほどの状況でも、積極的なプレースタイルは変わることなく勝利を手にしました。そしてインタビューでの相手や観客へのリスペクトを忘れないコメントが、とても20歳とは思えないものでした。

その姿は女王にふさわしいものだったように感じました。

 

とはいえ、まだプレースタイルには伸びしろを感じます。ネットプレーなどを織り込めるようになってきたら…などと考えるだけでも楽しみです。

 

本当におめでとうございます!

 

 

 

ある程度まで成長を実感している時に、環境を変えるというのは勇気のいることです。それがトップレベルを争う選手であればなおさら。

でも変えることはリスクもありますが、大きなチャンスを秘めているのです。大坂選手はそのチャンスを自ら手繰り寄せることが出来たのだと思います。

 

私たちもどうしても「変わる」ことに抵抗を感じることがあります。私自身もそうです。でも最初から触れもしなければ、その良さも悪さもわかりません。

 

是非一度触れてみて、自身で取り入れるかどうかの判断を出来るような柔軟さ、そして自分に自信を持てるほどにやりきる強さ。そこから得られるゆるぎない気持ち。

彼女の勝利から、学ぼうと改めて感じました。