記憶を残す。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

昨日に引き続き、ペース感覚について書いていきます。

いきなりですが、皆様は普段走る時にどんなペースで走っているでしょうか。

  • 呼吸が楽なジョギングペース
  • いつもと同じペース
  • 立っているのがしんどいほどの追い込んだペース

と少し挙げてみましたが、このように言葉で表すのは難しいですし、そのスピードというのは各々の感覚や走力によって異なります。
ただその日のトレーニングの目的をしっかりと持つこと、そして目的を実行するために適切なペース設定をすることが走力アップのカギになってきます。

 

たとえばハーフマラソンで2時間を切ることを目標にしているランナーAさんとBさんがいるとします。
2人とも21.0975kmを均等に走ることが出来るとして、平均で5分41秒/kmをキープし続ける必要があります。

 

Aさんはその設定ペースを目安にして、5分30秒~40秒/kmペースでいつも走っています。

Bさんは、7分30秒/kmくらいのゆっくりジョグペース、目標ペースの5分40秒くらい/km、時には4分30秒くらい/kmのスピードを意識した短い距離のトレーニングとバラエティに富んだ内容にしています。

 

結果に影響し得る2人の素質や運動歴、年齢などは完全に同じだとして(そんなことは実際はあり得ませんが)、どちらが先に2時間切りを達成できるでしょうか。

私はBさんの方が可能性が高いと考えます。

 

身体は記憶装置です。

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良くも悪くも、やればやるほど覚えます。
日常生活のクセ・習慣が良くない場合は、姿勢に影響が出てしまうのもその一つです。

走ることに関しても、身体はいろんなことを覚えてくれます。

フォーム全般(ざっくりまとめますが)やそれに伴う筋肉の使い方、持久力、そしてスピード。

体に蓄積したデータを基に、その刺激に対応しようとする反応が「レベルアップ」として出てくるのです。

 

いつも同じペースで走ることが出来るAさんは、そのペースに関してならばBさんに比べてスペシャリストと言えるでしょう。

ただ「走りの幅」は広いとは言えません。

 

対してBさんは、様々なペースでやっているので身体の使い方のバリエーションが豊富になっているでしょう。

つまり「速く走る方法」をAさんより知っています。

 

Bさんも大会となれば気合も入りいつもより速く走れるかもしれませんが、「いつも」に慣れているため速さへの適応力は決して高いとは考えにくいです。

いつもより速いという感覚を知っていること。その経験値の違いが結果に影響する可能性があると考えます。

 

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体内時計を応用するのです。

 

もちろん「いつも通り」走れることは、根気も必要ですし凄いことだと思います。

そこにちょっとしたスパイスを加えるイメージで、「たまに」ちょっと速く走ってみてはいかがでしょうか。

 

ようやく梅雨明けした地域も出てきて暑さも本番になってきましたが、ざるそばなど冷たい麺が美味しく感じる季節。

ざるそばを食べる時にわさびを少し入れると風味が変わって美味しいですよね。

しかし入れすぎるとどうでしょうか。

そばの風味を壊すだけでなく、鼻が刺激でやられてしまいます(笑)

 

同じように、スピードを少し速くする練習は、その分身体へのダメージは大きくなりますので、入れすぎると故障の原因になりえます。

 

何事も適量が良いのです。

一人でトレーニングをされていて、「その適量がわからない」とか「自分の目安がわからない」という方もいらっしゃると思います。

練習メニューの提案のみも可能ですので、話を聞いてみたいと思っていただけたらお気軽にお問い合わせください。