いろんな観点。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

昨日今日と、全国各地でマラソン大会が行われましたね。

参加された皆様、関係者の皆様お疲れさまでした!

 

その中でも注目度が高いのは、やはり東京マラソン。

他の大会にもそれぞれの特徴や魅力があるので甲乙つけがたいですが、日本での大都市系マラソンの代表でもあり、WMM(ワールドマラソンメジャーズ)の一つでもあるので国内外からトップ選手が参加します。

 

今年行われる世界陸上の日本代表選考会のひとつでもあるので、興味を持って観戦。

「世界記録を狙う」と発言したキプサング選手をはじめとする5分台以内の記録を持っている海外の猛者についていくのか、それとも代表権獲得を狙った日本人同士の駆け引きのレースになるのか。

 

 

開始直後から飛び出す海外勢。

凄い飛び出しです!

 

 

ペースメーカーは以下の3つ設定されたようです。

①世界記録(2時間2分57秒)を狙えるペース。

②国内レース最高記録(2時間5分18秒)を狙えるペース

③世界陸上派遣記録(2時間7分以内)を狙えるキロ3分ペース

 

一番速いペースメーカーの設定タイムは1kmを2分55秒程度で5kmでは14分30~35秒となっていました。

しかし、見るからにそれを上回っているような勢い。

 

蓋を開けてみると、入りの5kmはなんと14分14秒!

 

 

その後は多少落ち着き、設定に近いタイムになったものの国内では見たことのないほどの高速レース。

 

日本人選手は大半が最も遅い設定(それでも十分に速いのだが)のペーサーについて集団を作っていたのですが、その中で昨年の村山(謙)選手がついていったように、設楽(悠)選手をはじめとして数名が果敢にも先頭集団を追って行きました。

 

 

大丈夫か?という心配と、期待感を抱きました。

 

 

中間点を過ぎても勢いが落ちないトップ集団。

多少勢いは落ちても、しっかり粘る設楽選手。

 

 

ペースメーカーが離れた30km過ぎで、トップ争いはマッチレースの様相に。

そこで揺さぶりをかけて突き放したキプサング選手がそのまま逃げ切り優勝。

タイムは国内最高タイムの2時間3分58秒!

凄い、以外の言葉が見つかりません。

 

 

日本人トップ争いは30km以降勢いが落ちてきた設楽選手を、後方からひたひたと追い上げる2~3名の選手。

 

結果、38km辺りで設楽選手を抜き、さらに突き放した井上大仁選手が2時間8分22秒で日本人トップ(全体8位)でゴール。

 

序盤から突っ込んだ設楽選手はさらに山本浩之選手にも抜かれたものの、日本人3位(全体11位)。

初マラソンで見事サブテン達成の2時間9分27秒。展開を考えると、一番楽しみな走りを見せてくれた気がします。

 

 

ちなみに女子の方は、あまり中継がされていませんでしたがチェプチルチル選手が、こちらも国内レース最高記録の2時間19分47秒で優勝を飾りました。

 

男女ともに、結果を見るとコース変更によって狙った「高速化」が成功したように見えます。

これを機に、世界にも「東京も記録を狙えるコースだ」というイメージが広がれば、来年以降はベルリンのように世界記録を狙うトップ選手が集うようになるのではと期待してしまいます。

 

国内でそういう凄い走りを目の当たりにすることで大きな刺激になるでしょうし、日本も復権を目指していきたいところです。

 

 

一般のランナーが走りやすくなった一方、車いすの観点からすると「仕掛けどころが少なくなった」と映ったようです。

そのため勝負どころが設定しにくい難しい展開に。

 

ふるい落とすための小刻みなスパート合戦が繰り返されて、サバイバルの様相となったようです。

またゴール直前の路面が石畳になることで、負担が変わり難しさがありました。

 

そんな中、男子はゴールまでもつれる大混戦となりましたが、リオパラリンピックの金メダリストのフグ選手を抑えて渡辺選手が初優勝。

 

 

コースの変更によって、それぞれの種目によって戦い方も変わってくるというのは見る側からすると興味深いところです。

大きな刺激と気づきになりました。

 

いつか自分の脚で走ってみたいなぁ、と思います。