勇気を持ちましょう。

JRTA(日本ランニングトレーナー協会)認定ランニングインストラクターの野見山健治です。

 

悲しい出来事が起きました。

とあるマラソン大会で亡くなった方が出たというニュースを目にしました。

 

記事によりますと、途中で具合が悪くなったというわけではなく、完走はした上で更衣スペースまでは移動出来ているようです。

更衣を済ませたうえで荷物を枕にして横になっていたということなので、周囲が気付くのは難しかったのではないかと思います。

 

 

この方の運動歴やその日の体調など詳しいことはわかりませんが、ハッキリと言えることは、距離に関係なく身体への負担はかかるということです。

年齢も30代と若いようですし、距離も10kmだったようでマラソンの中では短い部類でもあります。

 

それでも身体に負担がかかることは間違いありません。

 

 

短い距離であればあるほど、簡単に考える人が多いのは事実です。

「たった」10km?

いえ、違います。

 

 

数字以上に負担は大きい

長い距離を見越して動いている場合の10kmは、ペースを極端に上げたりしないのでそれほど負荷は高くなることは多くありません。

しかし、10kmだとそれほど長いという意識が強くないので、「どうにかなる」と考え勢いよく走ってしまうかもしれません。

 

ましてや大会だと、その空気に飲まれていつも以上に飛び出したりして心拍数が急激に上がったりするので、決して楽なことではありません。

 

走ることにおける身体への負担は、大小の差こそあれ10kmだろうとフルマラソンだろうと、2kmだろうと関係ないのです。

 

短くなればなるほど、走りきれると実力を見誤って無理してしまう人も多くいます。男性や若い人ほどその傾向が強い気がするので注意が必要です。

 

またこういう傾向は初心者よりも「ちょっと走れてきた」という感覚が芽生えてきた人にも良く見られます。

自分は大丈夫、ではなく誰にでも起こりうるという意識が必要でしょう

 

 

一番頼りになるのは自分

どういう状況が起きるとしても、それを行っているのは自分自身です。

あなたの体調を誰よりもわかっているのはあなたです。

 

・最近疲れてないか。

・睡眠がとれてなかったりしないか。

・前夜に飲み過ぎたりしていないか。

・呼吸が苦しくないか。

・熱はないか。

 

など、誰かと比べるのではなく、あなたの感覚をまず大事にしましょう。

 

 

○○さんが出来ていたから自分も出来るとは限りません。

昨日できたことが今日も同じようにできるとは限りません。

 

体調は日々変わりますし、天候も違います。

自分を奮い立たせるために誰かを目標にするのは一つの方法ですが、それと同時に自分を知る必要もあるのも事実です。

 

 

そして「頑張る」と「無理する」の境界線を、日常の運動で知っておくこと。

いきなり大会で走る人はほとんどいないとは思いますが、その前の練習で何が出来てどれくらいまで頑張れるのかという現状をしっかりと把握しておくことが、記録を狙うという意味でも自分を守るという意味でもカギになります。

 

何より本番だからと無理をしないこと。頑張ると無理をするは違います

 

自分の状態を考えて、ペースを落とす、あるいはやめるという判断をする勇気は持っていてほしいです。

これは運動歴があろうがなかろうが同じです。

 

 

また具合が悪い、何かおかしいと感じたら、遠慮をせずに大会スタッフなどに自己申告しましょう。

大きな大会になればなるほど、1人に注意は向きにくくなりますので自分で伝える必要があります。

 

仲間や家族と一緒に出ていれば気付いてくれるかもしれませんが、一人の場合はなおさらです。

声をかける勇気を持ちましょう。

 

 

 

知識はあった方がいい

私自身、普通救急救命の講習は受講しておりますし、ランナーズマイスター(中級)の講座にもそういうものが含まれていたので大まかな動きは頭に入っています。

とはいえ、いざ本当にそういう場面に遭遇した場合に適切な対処が出来るかというと正直わかりません。

もしかすると何の役にも立たない可能性もあります。

 

それでも、知識があるのと無いのとでは当然ある方が対応出来る可能性は上がります。

 

こういうことが起きないのが一番いいですが、やはり備えあれば憂いなしだと思います。

 

自身の生活や仕事で忙しくされてる方が圧倒的に多いので、なかなか時間を取るのは難しいとは思いますが、基本の講習等は地域の消防署などで無料で受けることが出来ます。

もし何かが起きたら。もし家族が倒れたら。

 

万が一の時に、何も知らないよりは知っている方が力になれる可能性が高まるでしょう。

 

勇気を持ちましょう

そのような緊急時の知識を持つことが出来たら、様子がおかしいという方を見かけたときに声をかける勇気を持ちましょう。

 

 

ただ今回のように荷物を枕にして横になっていたら、走り終わって疲れてしまって休んでいるだけだと判断してしまう可能性は高いです。

そこにわざわざ声をかけて、というのは知り合いでもない限り出来ないことだと思います。

 

それでも周りに注意を払って様子がおかしい人がいないか目を向けていれば、最悪の事態は避けられるかもしれません。

適切な対応を知っておけば何か出来るかもしれません。

 

 

マラソンに限らず、こういう話題が出ると最近は「大会の運営は~」などと責任を求めるような風潮がありますが、全てにそれを求めるのは酷な話です。(もちろん応急処置が出来るような設備や救護スタッフの準備は必須でしょう)

 

 

健康のためにやろうとしている趣味で命を落とすなんて、そんな悲しいことは100%は無理だとしても可能な限りなくしたいのです。

 

 

そのために一番やるべきなのは、自己管理です。

自分の健康は自分で守る。

 

 

その為にも自分を知ること、そして自分へも、周囲に対しても勇気を持つことが大事だと心に記しておきます。

 

私自身もリスクが減らせると信じて、改めて救命に必要な手順などを復習しようと思います。

あなたも何か出来ることを探してみませんか。