「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。
ランニングをするとき、あなたは何を考えて走っていますか?
ペースですか?フォーム?終わってからのご褒美?
集中して「無」になるのも良いでしょうし、何らかの意識を働かせて行うことにも意味があります。
気分転換が目的であれば出かけるだけでも十分でしょうけれど、トレーニングという観点から効果を出すためにはテーマを持たせて行うことをおすすめします。
意識をするテーマの中でも比較的難しいという声を多く耳にするのが「ペース配分」。
長い時間・距離にわたって動き続けるわけですから、ペースの管理能力は非常に重要です。この感覚を磨くことができれば、体力のロスを最低限に抑えることもできますし、攻めていく際にも無謀なペースになる手前で我慢することもできます。
デメリットがあるとすれば、ここぞ!という一発での大化けが起こりにくいという点でしょうか。まぁそもそも長距離には「まぐれ」はほぼ起きませんから、大化けを求めるのは現実的ではありません。
選考会のような特別な場であればそういうチャレンジも必要になってくるかもしれませんが、市民ランナーが遭遇することはほとんどない場面でしょうね。
であれば、ペース感覚は持っていて困ることはないでしょう。
調子のバロメーター
私はペース配分は得意な方です。ペースメーカーとしてイベントや大会で走る機会をいただくようになって、それに磨きをかけてきました。
一度おさまったら体感でコントロールすることができます。これは自分の強みだと思っています。
そんな中でも得意なペースがあります。
これは先日一定ペースを意識して走った時のデータです。
5分/kmペースは、私の中で調子のバロメーターとなっています。いい動きができているときは、走りながら眠くなるような感覚。ただ息をするかのように走ることができます。
そういう意味では、少し頑張って維持をしたので現時点で「調子がいい」とは言えませんが、ペース感覚が整っていることは確認ができました。
このペースに限らず、ほぼ決めたペースで走ることができるので、大会ではいつも私の後ろに集団が…
たまには後ろをついて走ってみたい。後ろにつくと楽らしいけれど経験がないのでわかりません(笑)
具体的な方法は
さて、イーブンペース(一定の速さ)かどうか以前に、あなたは普段自分がどれくらいの速さで走っているかというのをどうやって感じていますか?
GPS時計やアプリを使用している方も多いと思いますが、電波状況によっては異常な数値を読み込むこともあります。油断をしていると充電が切れてしまったりすることも…どんなときでも必ず使えるものが自分の身体が持っている感覚です。
私は一度大会でのペースメークをする際にgarminの電池が切れていたことがありましたが、その時は24km走って誤差は3秒でした(参考記事:ペースを刻んできました)。そもそも準備が出来ていなかったので褒められたものじゃないですが、この感覚を磨いてなければ戦力外でした…。逆にこの経験から自信を深めました。
では、実際にどんなところに注意をすると良いのでしょうか。
私が気にしているのは大きく分けて、視覚、触覚、リズム感覚の3つです。
視覚に関しては、流れていく景色を感じ取る。
何もない無の空間はありません。木があって、信号があって、家があって。そういった普段は動かないものがどれくらいのスピードで視界を流れていくのかは、自分のペースを感じ取るために有効な手段です。(夜間は景色を見づらくなる分速く感じることもあるかもしれませんが、光など定点のものを目印にしましょう)
走り慣れているコースであれば目印までの目標タイムを作って、そこまでの時間を計ることで、磨くことができるでしょう。
次に触覚。
呼吸の大きさ、腕や脚の振り方、接地の衝撃などを感じ取る。当然強度が上がれば呼吸は上がりますし、動きも大きくなりますよね。逆も然り。
気候や体調によって感じ方に変動はありますが、それは逆に体調の良し悪しを感じ取る目安にもなります。
最後にリズム。
接地のときの「タッタッタッタッ…」というリズム音を感じとります。速さがどうなっているのか。ある程度掴めてきたら乱れていないかに注意をします。
この時、自分の頭の中で好きな曲を流す(歌ってみる)などで心地良いリズムを身につけるというのも良いかもしれませんね。
この3つのポイントをおさえつつ、わざと速く走ったり、ゆっくり走ったりしながら、感覚と実際のスピードのすり合わせをしていきます。ある程度掴めて来たらその精度を上げていくように繰り返していく。
ペース感覚は技術です。誰にでも身につけられますし、磨くことができます。
もしペースにこだわるとき、特に最初のうちは走り慣れた場所や距離表示のある場所で、自分が思うペースと実際の違いを感じるところから始めると良いかもしれませんね。
他にもいい方法があるかもしれませんが、私はこうして身につけました。
今後に向けて、磨いてみてはいかがでしょうか。