生を感じた前半。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

先週末のマラニックの概要やスタートまでは記した通り(参考記事:マラニックの神髄)。

 
 

今日はその激闘(??)の様子を。

 
個人的にはマラニックの要素は薄く、開始直後から予想をしていないレベルでの修行に近い感覚でした。

 

実は、私は体調や皮膚トラブルなどにより今年に入って練習が出来ておらず、1月82km(5日)、2月72km(7日)という走行距離。
2か月で約154km。普段から120km程度なので多い方ではないのですが、それ以上に状態が良くなかったことが問題でした。
客観的にみると、100km超のウルトラを走るランナーとは思えない練習量ですね。大丈夫です、主観的に見てもそうですから(笑)

 
今回は直近2か月に匹敵する距離を1日で走ろうというのですから、無謀でしかない。

 

 

今回は自分の中で完走は難しいだろうと思っていた。それでも体調などのその日の状態は悪くはないところまで持ってこれたので、今回の大きな目標「挑戦」をするためにスタートラインに立つことにした。

 

・走る動作を問題なく行うこと。
・地図を見ながら知らない場所を走ること。
・夜間にヘッドライトなどで道を照らしながら走ること。
 

こういった「初めての経験」をしたかったのだ。

 

その上であわよくば、夜明けまで走って自己最長走行距離を更新したい。
許されるなら最後まで駆け抜けたい。

 

出来ることを出しきる。

 

このことを胸において、数段階に目標を設定。
 

 

修行開始

14時スタートはまさかの3人だけ。しかも他2名は猛者。他の参加者よりも4時間遅れでスタートすることを選んでいるわけだからそうであろう。
案の定、開始直後わずか5秒で一人旅開始。完全に修行である。

 

最終スタートでいきなり置いて行かれたということは、全体の最下位に位置するわけです。
どこかで誰かに追いつけると信じて。

 

 

ついていこうと思えばいけないペースでもなかったが、不安だらけだったので先行する2名に付くことはせず。
空気にのまれず自分のことに集中。体と対話をしながら、心地よいリズムとペースはどこか。調子はどうか。おかしなところはないか。探りながらのランニング。

 

 

 

幸いにも痛みや違和感のある場所はない。
最初の目標は、まずクリア。あとは痛みが出たら即やめるということを決めて走り続ける。

 

歩道はあってもでこぼこが多く、走りやすいとはいえない。歩道のないところも多い。
足元に注意を払いつつ、車や自転車にも気を付けて走行。

気温は16度くらいだった(はず)。半袖だが暖かい。日差しは暑いくらいだったが、日陰や風を感じる場所は肌寒く感じる。日中で走り続けられるのであれば半袖のままでOKだと判断。

 

壊れかけといわれる観音像をバックに。高さ100mもあるらしい。

天候は最高、海沿いの景色はとても気持ちよく、快適に走れていた。道もほとんど道なりなので迷う心配もしばらくはなさそう。

この安心感はとても大きい。

 

一人なので話し相手はいない分、自分で管理できる。これはこれでいい感じ。(でもホントは話しながら走りたかった)

 

この日快適に感じるペースは6分10秒/kmくらい。非常に心地良い。そんなペースで10km、20kmと進んでいく。
交通量の多い道路でしたが、信号が少なくほとんど止まる必要がない。リズムも完全に作れた。

 

市の境の表示は気分転換

こういう目印を心の支えにしながら進む。

 

最初は新鮮に感じた景色も、しばらく続くと「長く」感じてくる。海岸線は見通しが良く、遠くに見える目印が「見えてしまう」。
見えるのになかなか近づかない。

こんな風に感じている時点で、少しメンタルにダメージが来ているんだろうなと。

 

そのメンタルダメージは、身体にも少しずつ影響し始める。
25km過ぎてすでに「疲れてきた」。走りこんでないので、当然といえば当然。
荷物を背負った肩も痛みを感じるように。

 

まだまだ6分の1。

 

 

それでも立ち寄ったコンビニで食べたいと思うものとストックとして持っておこうと食糧を確保。
いい気分転換になった。また快適に走れる。

 

そしてここでも初めてを経験。

実は数日前に「あっ、これでいけるんじゃ?」と気が付いたICOCAでコンビニの支払い出来るじゃんということ。
交通系ICカードでの支払いって今までにしたことなかったんです。便利!

アプリも考えたのですが、電池切れたら使えないしね。アプリで支払いもしたことないし(笑)

 

 

遠くに見える洲本城。遠すぎるけど。

 

関西圏の人間なら必ず耳にしたことのある「ホテルニューアワジ」の現物を初めて目にする。もちろん口ずさむ(笑)

 

気分は乗っているけれど、脚がどうにも重くなってきた。
「これこれ!」

 

初めてのウルトラマラソンの時に味わった感覚を思い出した。

 

たとえば100kmの大会に出るときの30kmと42.195kmの大会の30km地点。
100kmの30kmは大したことがないように思う方もいらっしゃるでしょうけど、30kmという数字は一緒。疲れるものは疲れる!

 

この感覚を抱えながら、この先長い時間戦うんだろうなと少しわくわく(だいぶ頭がやられてるw)。

 

 

そんな時小腹を満たすのが楽しみのひとつでもあるので、地図に記された「ライフ」という店を目標に。スーパーのライフだと思ってたどり着いたら…

小さな商店のようでした。やられたー!入らず通過。ここまで35kmちょっとだったと思う。
この先数キロでエイドがあるはず。そこまでおそらく1時間くらいか。それだけの水分と食べ物は持っている。エイドで補給させてもらおう。

 

 

もう少し進むと気になる看板発見。

ナゾのパラダイス立川水仙郷。
こんな地域でパラダイスなんて響きを聞いたら、探偵ナイトスクープのテイストしか思い出さない(笑)
どんな場所なんだろう。しかし、だんだんと薄暗くなってきた。明るいうちにたどり着けるのか。

 

ここまでは迷うことなく進めているはず。まだ誰もランナーを見ていないけれど。

地図見て走るも達成。2つ目クリア。

  

暗闇

地図を見て覚悟はしていたが、ここから峠を越えることになる。
坂の傾斜はそれほどでもないにもかかわらず、脚が前に出ない。まだ100km以上残っているのに、である。でも無理をすると走れなくなるので、戦略的に歩きを入れる。
幸いそれほど長い坂でもなかったので、再び走り出す。

 

峠に入ると、空の暗さが加速したかのように一気に暗くなる。車も時折通るので、安全のためライトをつける。

一応頭につけて走っているとき。

 

そのライトに反応したのか、木々の中から「ガサッガサッ」と音が!
明らかに生き物である。
何かわからないけど、動いていることだけはわかる。

 

怖い(笑)

 

その怖ささえ楽しめるのだから、もう完全におかしくなっている。

 

水仙郷はすでに暗くなってたどり着いたので、概要はわからなかった。

 


 

疲れは感じていたけれど、もう痛みの心配も薄れていたことがうれしかった。
走れる喜び。それを感じていた。

 

 

フルマラソンの距離を4時間30分くらいで通過。理想より15分ほど遅いが、順調ではある。下りに入るとそろそろエイドがあるはず。

  

はず。

 

…はず?

あるの?

 

 

それらしきものが見えない。真っ暗である。

 

しばらく行くと人影が複数。何か聞き取れない声をかけられた。

私:「何ですか?」
男:「一周マラニックの参加者ですか?」
私:「そうですよ」

 

男性はボランティアの方だった。
ランナーが通過すると時刻とともにチェックをしていたようですが、なぜか私のゼッケンは通過していることに…

 
それですでに全員が通過したものと思ったらしく、9割方撤収済。残すは台をしまってトランクを閉めるだけになっていた。

 
 

ボ:「ごめん、もう片付けちゃったよ」
私:「仕方ないです。人に会えたから安心しました」←率直な気持ち
 

 

水の容器が見えたので、お願いして持っているボトルに水を補充させていただいた。

 

ボ:「これ、食べるかい?」

もらったのはたこ焼き…ではなく中身が猪の肉の「いの焼き?」
冷たくなっていることを詫びていたが、いただけたことが本当にうれしかった。

 

ありがとうございます!元気出た。
水も補充できたし。この先10数キロで次のエイドがあるはず。

 

次のエイドには連絡をしてくださるとのことで安心して再出発。最後方はオレやで!(笑)

 

寒い中長らく待たせることになるのは申し訳ないので、なるべく速く行こう。

 

 

日が落ちて気温も下がってきていたが、汗もかけている。実はこれはとても大事な感覚である。
運動時に汗をかけないのは脱水症状だったり低体温症だったりとリスクに繋がるからだ(発汗で冷えたらそれはそれで低体温のリスク)。

 

まだ動ける状態だ。
食べたことより人と話せたことで元気が出た気がした。前の人は30分ほど前らしい。ある程度想定内。
どこかで追いつくだろう。

 

 

その先に進むと今度はまた海岸線に出た…と思う。
「思う」というのは、すでに暗くなって全く海が見えなかったのだ。

 

街灯はほとんどない。車もほとんど通らない。

 

波の音、水の音、風の音だけが聞こえる。

 

暗闇の中の波の音は不気味である。非常に怖いと思った。でもその感覚さえ新鮮。

 

 

「生きている」

 

そんなことを考えていた。

 

空を見上げると、星空に包みこまれていた。

 

…つづく。

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