強さと裏打ち。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

今日はMGCシリーズの最後の1戦が男女共に開催される日。つまりは東京オリンピックのマラソン代表の内定選手が出揃う日。

こんな状況ではありますが、だからこそ選手には自分のことに集中して力を出してほしい。

 

 

名古屋ウィメンズマラソンは雨。当初の予定からすると全く規模が違いますので、先日の東京マラソン同様に少し寂しい雰囲気。 

そんな中でも熱い走りを期待。

 

 

安定の展開

雨も強いですが、それほど風が強くないというのが救い。気温が高くても風と雨のコラボはかなりしんどく感じますから(個人の感想です)。

 

ターゲットタイムは大阪国際女子マラソンで松田瑞生選手が記録した2時間21分47秒。このタイムを超えて、かつ日本人最上位になれば代表内定。たとえ優勝してもこのタイムに届かない場合は松田選手が代表権。非常にわかりやすい。

決して低いタイムではない。だからこその挑戦が見られるのでは?という期待感。 

 

 

スタート直後にペースメーカーが一人離脱するということもありましたが、先頭集団は設定ペースである3分20秒/kmに近く安定した走り。見ている限り細かい上げ下げも多くはなさそうな印象。

有力と見られた選手は概ね先頭集団。期待が膨らむ序盤戦。

 

名古屋で好タイムを出したことのある岩出選手、同じく名古屋で初マラソン日本最高記録を出した安藤選手、そこに加えて細田選手も積極的な位置取り。
MGCでハイペースに持って行った一山選手、実績十分の福士選手、野上選手、世界陸上にも出場している池満選手、 初マラソンながら成長著しい佐藤選手らが集団に。

 

 

一時期ではこんなハイペースな先頭につくというのは日本選手にいなかったのに、これが当たり前になってきている。やはりレベル・意識の変化は凄い。積極的なチャレンジは見ていて気持ちいい。

 


10km過ぎから徐々に集団から落ちていく選手が出ていく中、落ち着いた動きを見せたのは一山・安藤のワコール勢、佐藤選手と細田選手も淡々と。

ペースも設定タイムを視野に入れた良い展開が続いている。

 

 

中間点を過ぎ、安定したペースは相変わらず。そんな中、細田選手が少しずつ遅れていく。
2時間20分~21分の記録を持っている海外招待選手4名と残る日本人選手3人には大きな変化は見られない。

 

25kmを過ぎて少しペースが落ちてきた。
レースが動く。そんな予感。

 

30kmでペースメーカーが外れることになっていたので、そこで動くかと思いきや一山選手が29km地点くらいで先手を取りペーサーを抜くような動き。

全体のペースが上がる。動かしたのは一山選手だった。

 

そこに安藤選手、佐藤選手はついていけない。それどころか格上のタイムを持っているリオノリポ選手、トラ選手、ダンテ選手、デベレ選手ら海外の招待選手も置いていく。

 

強い。
一気にペースを引き上げて、しかもそのハイペースを維持する強さ。フォームが無駄なく素晴らしい。

 

完全に独走状態を作り上げつつも、後ろを気にする素振りは一切なく前だけを見て。気持ちも強い。

 

30km以降は3分10秒台のLapを連発し、30~35km、35~40kmのスプリット、ラスト2.195kmも他の選手を圧倒。抜け出してから後続を一切寄せ付けることなくそのまま一山麻緒選手が優勝。
本当に強かった。


そしてタイムは…

 

2時間20分29秒!! 

 

松田選手を上回るどころか、国内大会での最高記録(日本歴代4位)の好タイム。

タイム的にも強い海外勢を突き放した展開的にも文句なし。速さ、強さを見せつけた素晴らしいレース展開でした。

 

 

ちなみに日本歴代の上位3人は高速コースとして有名なベルリン。しかもベルリンは男女同時に走るので女性選手をサポートすることも可能。ですから純粋な女性のみの大会ということには意味があると思います。
そういう面から上位3人に匹敵すると言っても過言ではない凄いタイムをこの土壇場でたたき出しました。

 

 

本当に凄かった。

松田選手も悔しい気持ちはもちろんあるでしょうけれど、これで抜かれたわけですからある意味納得が出来るのではないでしょうか。

 

 

「好条件なら好タイム」というような表現を見ますが、一概にはそういえないと私は考えます。
この条件だったからこそ、ペースや展開、そして判断などが「ハマった」可能性は否定できません。晴れてたら、気温が違ったら…そんなことをいうのはあまり意味のあることではないでしょう。妄想を膨らませるという意味では楽しみではありますが。

 

 

全体2位には安藤友香選手が2時間22分41秒と復活の狼煙。ワコール勢のワンツーフィニッシュ。
全体5位の日本人3位に佐藤早也伽選手が2時間23分27秒の好タイム。これも素晴らしい。

練習は裏切らない

「練習は裏切らない」

 

こんな言葉を聞きます。でも言葉を補いたい。
「意味と目的を持たせた」練習は裏切らない。

 

一山選手も厳しいトレーニングをしてきたということをインタビューで語っていますが、「レースのこの場面」とか「こういう走りをするために」と明確なテーマを見据えて取り組んできたわけです。

だからこそ、本番に生かせる。

 

 

単なる練習の繰り返しは、成長を狙うには効果が十分に期待できません。

普段の練習に、自分なりに目的を持たせる。これは誰にでも出来ることです。こういうところから取り入れてみるのはいかがでしょうか。

 

刺激が凄すぎて、今すぐにでも走りたい(笑)