予想以上。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

 

今日は大阪国際女子マラソンが開催されました。

この大会は、東京オリンピックの出場をかけたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)のファイナルチャレンジに指定されている大会の一つ(参考記事:楽しみなエントリー

 

 

女子は2時間22分22秒以内で走り、かつ最上位にいた選手がすでに内定を取っている前田穂南選手、鈴木亜由子選手に続く3人目の代表になることができます。

 

この大阪国際女子マラソン、3月の名古屋ウィメンズマラソンのどちらかでクリアする選手が現れない場合は、MGCで3位に入った小原怜選手が出場権となります。

しかし、小原選手はその基準タイムを上回り自分の力で確定させようと小原選手は今大会に出場。リオデジャネイロの選考では「1秒」に泣いた経験から、何が何でも自力で取りに行こうという強い気持ちを感じました。

 

そこに実績十分の福士加代子選手、MGC4位となった松田瑞生選手、世界陸上にも出場した谷本観月選手らも参加し、順位はもちろんタイムを目指す高速レースを予想していました。

 

予想以上

国外招待選手も2時間20分台、21分台という速い選手が参加していたこともあって、スタート直後からかなりのハイペース。
2時間22分22秒は概ね3分22秒/kmが求められますが、3分20秒より若干速いペースで推移。この次元で3~5秒というのは大きな違いがあります。

 

ギリギリでもタイムを超えればいいではなく、あくまで世界で戦うことを見据えたかのような展開。予想以上のハイペースでした。

 

 

このハイペースで形成される先頭集団にきっちりとついていた日本人選手は、福士選手、小原選手、谷本選手、そして松田選手。
その中でも最も積極的な位置取りと走りを見せたのは松田選手。ペーサーのほぼ後ろ(練習からここが定位置だそう)で展開。走り慣れた位置取りというのは精神的な安定も期待できますし、前の方だとペースの変動にも反応しやすく良い位置取りだったように思いました。ただ風の影響などはあるような気はしました。

 

5km16分30秒台で刻まれるペース。安定した展開。だからこそスピードや地力が求められます。

そんな中、10km過ぎて谷本選手はじわじわと遅れ、15kmを過ぎると小原選手も少しずつ遅れ始めました。

 

集団の後ろで待機していた福士選手も20kmで徐々に離れ始めました。

中間点を過ぎて、海外招待選手6名と松田選手という7名で集団が形成。常に前にいるのが松田選手というのは変わらず。

  

その中からベレテ選手と松田選手が抜け出し、マッチレースの様相に。30kmを過ぎて松田選手はスパート。置いていかれたベレテ選手を後ろからレウェテン選手が追い上げるという形に。

 

しばらくは2名に追われる形でしたが、その後も大きな乱れはなく終盤までしっかりと粘り…

松田選手が優勝!

 

タイムは…

 

2時間21分47秒!

 

見事基準タイムをクリアし、代表候補に名乗りを上げました。

 

 

中盤から苦しい走りになった小原選手は完走こそしたものの、2時間28分台と出場権をつかむことができませんでした。
ゴール直前に設置してある掲示板には、ゴールタイムは止まったままでその下に先頭がゴールしてからのタイム差が動いています。
そのタイムを見て、インタビューを受けている松田選手の声を聴いてきっと悟ったのだと思います。

 

ゴール直後には崩れ落ちるような姿。脚も本調子じゃなかったらしく、引きずりながら心身のダメージは想像もできないくらいの様子でした。

想像以上の酷な場面…出来ることなら走っている最中にそのことを知らせられたら何かが違ったような気がします。

 

 

一方、福士選手は25km地点でレースをやめて、ダメージを最小限にとどめたような形になりました。東京オリンピックに出るための最後の希望として、名古屋ウィメンズマラソンにかけるためという見方です。
おそらく出場するでしょうし、勝負をかけてくるでしょう。

 

 

男子のファイナルチャレンジでもそうですが、狙うにはタイムが必須。ですから駆け引きはあるでしょうけれど、何よりタイムありき。
そこには見る側、競技者共に明快な答えが待っています。今回のような酷な場面も出てきますが、不明瞭な選考よりはよっぽど納得できるはず。

 

 

松田選手も確定ではない。男子もまだわかりません。
最後までわからないですし、結果はわかりやすい。改善点はあるかもしれませんがMGCで底上げになっていると言っていいように思います。

 

名古屋ウィメンズマラソンではターゲットタイムが2時間21分46秒以内とハードルが上がりました。
さらなる高速レースに耐えうる選手が出るのか楽しみです。

 

 

蛇足。

実業団で実績を残したわけじゃない山口遥選手が日本人2番手の2時間26分35秒。序盤から無理をせず、後半に粘って上げていくという素晴らしい走り。30km以降のタイムは、優勝した松田選手よりも1秒速く全体の2位。凄い!

昨年11月の神戸マラソンで、たしか約5分ほど自己ベストを更新したばかり。そこからさらに更新。市民ランナーでこうして戦える選手が出てくるのも過去にはなかったですよね。さらなる活躍を期待。