「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。
だいぶ朝晩の気温が下がるようになり、日中も動きやすい気候になってきたかと思います。地域や環境によっては、この気温差が体に大きな負担となりますので体調にはお気を付けください。
さて、この時期になるとマラソンだけでなく、駅伝シーズンに入ります。大学や実業団、高校などの大会が予選、本選と忙しく行われていきます。見ている側やファンからすると「いよいよか」と楽しめるかもしれませんが、選手はどこに照準を合わせるのかが難しくなってきます。トレーニングもしなくてはいけないし、ピーキング(調整)もしないといけない。ここが指導者の腕の見せ所ですね。
先週末に行われた全日本実業団対抗女子駅伝競走大会の予選(プリンセス駅伝)では、ここ数年見られた大きなアクシデントもなく無事に大会を終えられていました(参考記事:昨年の悲劇が)。
一方、今日行われた全日本大学女子駅伝対校選手権。連覇を狙う名城大学と毎年上位に入る大東大の優勝争いの最中、4区でアクシデントが。大東大の秋山選手が終盤ふらつきまともに走れない状態に。
極端な落ち込みに「故障か?」と思いましたが、画面で見ている範囲では脚ではない様子。それでも明らかに異常。ペースダウンどころか、走ることもままならず前進することも危うい状態に。そして転倒。
進むことが難しくなった時にはすでに中継所が見えていたので、個人的には怪我でなく意識もあるのであればなんとか歩いてでもつないでほしいと感じましたが、この感覚も危険なのかもしれません。
スタッフが駆け寄り手助けをしそうな場面もありましたが、なんとか無事にタスキをつなぎ、ゴールまでたどり着くことができました(全体2位)。
秋山選手に起こったアクシデントは、中継のコメントでは「過呼吸」とのことで、大事には至らないようだと話していたので少し安心しました。
過換気症候群(過呼吸)は主に緊張や不安など精神的なストレスから出てくるとされています。場合によっては、肉体的な疲労から起こることもあります。今回は駅伝というチームを背負って走る独特の緊張感に加え、優勝争いをするという展開。その未知数のプレッシャーに肉体的な疲労が加わってしまったことが要因かもしれません。
今回は大事には至らなかったですが、怖さは実感しました。
誰にでも起こる
この区間は4.8kmとそれほど長い距離ではありません。特にトレーニングを積んでいる駅伝選手であれば、不安が芽生える距離ではないでしょう。
それでも気候や本人のコンディション次第では、今回のようなアクシデントや場合によっては脱水症状などを起こしてしまうこともあり得ます。
暑さや疲労だけなら誰でも感じられますが、内面には自ら異変に気が付かなくてはなりません。そしてそういう予想できないことは過ごしやすい時期であっても起こりうる。
肉体的なダメージならやめることはできても、内面的なダメージは軽く見たりあるいは気が付かないことさえあります。
高いレベルで練習を積んでいる人であっても、市民ランナーであってもそれは同様です。
これくらいだから大丈夫とたかをくくるのではなく、万が一を想定した準備と心構えをする必要性を改めて感じました。
私自身、ウルトラマラソンの完走を積み上げるにつれて距離に対する抵抗感がなくなってきていることに否定はできません。20~30kmの練習の時、準備やケアを軽く見てしまうことが時にあるのが正直なところです。
それではいけない。
何かあってからでは遅いのです。
何もない。しなくてよかったと思える状況が一番。
このブログを目にする方、そして私と関わる一人でも多くの方にこの大事さを実感し、行動をしてほしいと感じます。