過去にない試み。

「理想の姿」に向かって共に歩むパーソナルトレーナー、相支走愛(神戸)の野見山健治です。

 

 

いよいよ始まりました、世界陸上!
今年はあらゆる競技の世界大会が行われていて、私としてはとても忙しくなっています(笑)
関心がない方にとってはしんどいかもしれませんね。それ以前に全く関心のない方はこのブログにさえ行きついていないか。

 

 

日本(のマスコミ)が注目している100mのほか、男子の走り幅跳びや走高跳びなど、いままで日本勢が世界となかなか戦えなかった種目でも底上げがなされ期待できそうで楽しみにしています。

 

 

そんな中かつてない取り組みがひとつ。

 

それはマラソンの深夜開催。

 

 

今大会はドーハで開催されています。暑い地域。日中の気温は40度近くになることもあるため、「比較的」気温の低い夜に行うとのことです。スタートは現地時間での23:59。まさに深夜。

 

通常マラソン大会は午前中~正午スタートであることが多いです。そんな中、夜間というか深夜スタートは異例。世界陸上では史上初。


ただでさえ時差の影響がある中で、通常なら休めるはずの時間帯に競技が行われるわけです。

私たちが想像できないほどに研ぎ澄まされた世界トップクラスの選手たちにとっては、身体のリズムなども大きな影響が出てくることが予想できます。

 

レースの様子は

女子マラソンが初日に早速行われました。

 

スタート時の気温32.7度、湿度73.3%。感覚とすると浴室に入った瞬間という感じでしょうか。

その中でギリギリのスピードで競い合う。どう考えても過酷。

マラソンはタイム(順位)を競う種目のはずですが、それ以上にサバイバルの色が強くなっていました。

レースは序盤スローペースで展開。この暑さです。タイムが期待できないので勝負に徹するとこうなるのは予想出来ました。先頭集団の入りの5kmが18分21秒。日本勢は3人まとまって走る団体戦のような陣形で30秒ほど遅れて後方待機。

コースは1周7kmの6周回+αでしたが、優勝争いは最終周回に入るタイミングで動きが出ました。

今シーズン世界歴代3位の2時間17分08秒を記録しているチェプンゲティッチ選手が、そこからの5kmを17分30秒ほどで見事なペースの切り替えを見せて優勝。

日本勢は序盤は後方待機をしながら、粘って前をとらえていく作戦(?)を見せました。そして谷本選手がしぶとく7位入賞を果たしました。

中盤からの追い上げは、本人も気持ちを強く持つのに助けになったでしょうし、見ている側としても盛り上がりました。

この追い上げで成果を出せたことを考えると男子の川内選手には期待が膨らみます。

一方、スタートした68人に対して完走したのはわずか40人。優勝候補に挙げられていた選手さえ途中棄権してしまいました。

国によってレベルは異なりますが、代表になるランナーでさえ完走が難しいというのは、競技としてどうなんだろうと考えてしまいます。

そういうサバイバル色を強めたいなら、いっそサハラマラソンのようなコースでもいいんじゃないか。

今後の願い

もう決まっていることですが、来年の東京オリンピック。盛り上がってほしいし、見たい。
でも安全でなければならない。これは他人事ではないのです。

 

 

暑さ対策は時間をずらした微調整だけでいいのか。本当に夏(あるいは冬)じゃないといけないのか。開催地はそこでいいのか。

 

今回は新たな試みで、深夜スタートで影響を小さくしたつもりかもしれませんが、選手にかかる負担は大きすぎます。

マラソンに限らず過去にない試みをするのであれば、競技の開催時期や開催地の選定という根本から考えた方がいいと思う。

興行面ばかりを優先させたり、どこそこへの忖度をするのではなく、本当の意味で選手目線の「最高のパフォーマンス」を出せる環境を選んでほしいと強く思います。